仙台市では、老朽化したビル等の建て替えによる高機能オフィスの整備と、企業誘致の促進を目指す「せんだい都心再構築プロジェクト」が2019年7月より始動している。具体的な施策として、「仙台市都心部建替え促進助成金制度の創設」や「高機能オフィスの整備に着目した容積率の緩和」、「仙台市市街地再開発事業補助金制度の拡充」等、が講じられている。
仙台市は、同プロジェクトの助成制度を活用した第一号案件として、「(仮称)NTT仙台中央ビル」の開発を指定した。2017年に閉鎖した「仙台中央ビル」を、19階建てのオフィスビル(延床面積約4万m
2)に建替える計画が検討されており、2023年に竣工予定である
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また、仙台市は同プロジェクトの一環として、JR仙台駅西口の青葉通の一部区間を、屋外広場に整備することを検討している。この屋外広場の整備は、青葉通沿道の「旧さくら野百貨店仙台店」や「GSビル跡地」の再開発と連動して行う計画である
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「旧さくら野百貨店仙台店」跡地については、「ドン・キホーテ」などを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが開発を検討している。同社が発表した「(仮称)さくら野百貨店跡地開発計画」によると、オフィスビルとホテル2棟を建設し、低層階を商業施設でつなげる予定であり、建物の総延床面積は約11万m
2になるとのことである。2021年秋に再開発に向けた準備組合を設立、着工は2024年度、竣工は2027年度を予定である
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また、「GSビル跡地」では、隣接する商業施設「EDEN(エデン)」との一体的な再開発を検討されている。ただし、「EDEN」を運営するオリックスの関連会社は、入居テナントとの契約期限を2020年1月末から2年間延長していることから、本格的な再開発は2022年以降になる見通しである
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前述の施策は、「都市再生緊急整備地域
6」(仙台駅西・一番町地域)が対象地域になっているが、仙台市は、「都市再生緊急整備地域」の拡大を、2020年4月に内閣府に申し出を行った(図表-15)。これらの区域が指定された場合、「都市再生緊急整備地域」の面積は、現行の約79haから約186haへと約2倍に拡大する。
また、仙台市は、東北地方初となる「特定都市再生緊急整備地域
7」の指定についても申請した。「特定都市再生緊急整備地域」では国際水準のオフィスやハイクラスホテルなどを誘致し、都市の国際競争力を高める開発を誘導する考えだ
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「せんだい都心再構築プロジェクト」の適用範囲や国による支援等の対象区域が拡大することで、仙台中心部での再開発が更に進展する可能性がある。