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新型コロナ対策として期待されるFFCRA
3月18日に新型コロナ対策の第2弾として議会が超党派で成立させた「家族第一コロナウイルス対策法」(Families First Coronavirus Response Act、FFCRA)では、従業員500人未満
6の企業を対象に20年12月までの時限立法として、有給病気休暇を付与するための緊急家族医療休暇拡大法(The Emergency Family and Medical Leave Expansion Act、EFMLEA)と、緊急有給病気休暇法(The Emergency Paid Sick Leave Act、EPSLA)を盛り込んだ。
EFMLEAは、従前のFMLAを改訂し新型コロナが原因の学校閉鎖によって18歳未満の子供の世話をしなければいけない従業員に対して、雇用主に最長12週間の有給休暇付与を義務付ける。その際、最初の2週間はEPSLAに基づく有給休暇
7が適用され、その後2週間を超える休暇について通常の給与の3分の2
8を支払うことが義務づけられた。
また、EPSLAでは以下の6条件を満たす場合に従業員に対して2週間程度(80時間)の有給病気休暇の付与を義務付けた。6条件は、(1)新型コロナに関連する連邦、州、または自治体の検疫または隔離命令の対象となっている、(2)新型コロナに関する懸念のため、医療機関より自主隔離をするように助言されている、(3)新型コロナの症状があり、医療機関による診察を求めている、(4)従業員が、(1)や、(2)に該当する個人を介護している、(5)新型コロナにより、子供の学校または子育て支援施設が閉鎖された場合、または子供の保育提供者がケアできない場合、(6)財務長官および労働長官の協議の上で、保健福祉長官によって指定された諸症状がある場合、である。
一方、有給病気休暇取得時の給与支払い額は前記の条件によって異なり、(1)から(3)に該当する場合に1日当たり通常レート給与の8時間分(上限は511ドル)を満額、(4)から(6)に該当する場合に1日当たり3分の2の給与を支給することが義務付けられる。
なお、FFCRA施行前にビジネスが停止していた場合や、FFCRA施行後に解雇した従業員には有給休暇は付与されず、失業保険で補償する建付けになっている。
一方、雇用主による給与の財源は、FFCRAに基づいて従業員に支給した給与の100%分が雇用者負担の連邦社会保障税から四半期ごとに税額控除される仕組みとなっている。
6 従業員50人未満の企業で休業要件が継続企業としての事業の存続を危うく場合には有給病気付与の義務から免除され
7 通常レート給与の8時間分(一日の上限は511ドル、通期の上限は5,110ドル)を支給。
8 1日の上限は200ドル、通期の上限は10,000ドル。
4――FFCRAを契機に有給休暇付与義務の拡大を