中村 亮一()
研究領域:保険
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EIOPAの見解では、VAの使用に監督当局の承認を必要とするかどうかという問題は、全ての加盟国について同様な取扱が行われるべきである。
VAが監督上の承認を受けるべきか否かは、VAの設計に依存する。EIOPAは協議の後、その設計についての選好の決定を行う。
5―「ボラティリティ調整(VA)」-内部モデルにおける動的VA-
3.6.ボラティリティ調整の動的モデリング
EIOPAは、内部モデル利用者による動的VA調整(DVA)のモデル化が、保険及び再保険会社の投資及びリスク管理戦略を阻害する要因となっているかどうか、また、この点に関する多様な慣行の存在が公平な競争の場に有害であるかどうかを評価するよう求められている。この関連で、EIOPAは、ボラティリティ調整の基礎となる前提に照らして、内部モデルにおけるこの動的モデル化の適切性を評価することが求められる。EIOPAが内部モデルにおいてこの動的モデル化を維持するよう勧告する場合には、モデル化の調和を改善するための判断基準についても勧告すべきである。
DVAを維持すべきか否かについて、EIOPAは次のように勧告する。
1.もし、ディスインセンティブがVAの源で解消されれば、DVAは維持されるかもしれない。これにより、より多くの保険会社がEIOPA VA手法を直接モデル化して許容可能な結果を得ることが可能となり、意図しないリスク管理のインセンティブを回避することができるため、より調和を図る道が開かれる。VAの具体的な将来の設計に依存して、内部モデルに対するこのアプローチは、潜在的に、規制において支持される必要があるかもしれない。
2.VA解決策が導入されないか又は部分的しか導入されない場合は、(規制において)措置が必要となる。そのような措置は、ディスインセンティブを回避し、DVAがリスク感応的であり、公平な競争条件を保護することを確実にするという野望を持つであろう。これは、「包括的アプローチ」 の設計と同様に、「直接的アプローチ」 の使用に影響を与える可能性がある。
適切な解決策を設計するには、以下の原則を用いるべきである。
3.リスク管理と投資管理、特に「オーバーシュート」(又は「アンダーシュート」)に対するディスインセンティブがない。
4.DVAの便益は、対象となる資産及び負債に存在するリスクを反映して、リスク感応的であるべきである。特に、信用スプレッドのSCRを完全に排除するべきではなく、DVAの便益は予想損失、予想外の信用リスク(特に、移行及びデフォルト)及びその他の資産のリスクを反映すべきである。
この助言は、観察されたVAの欠陥を解決する適切性が現在協議中であるため、VAに対する提案された変更について決定的でない意図によるものであることに留意されたい。
6―まとめ