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雇用関連統計25年7月-失業率はコロナ禍前の水準まで低下したが、有効求人倍率は低迷が続く

2025年08月29日

(斎藤 太郎) 日本経済

1.失業率はコロナ禍前の水準まで低下

総務省が8月29日に公表した労働力調査によると、25年7月の完全失業率は前月から0.2ポイント低下の2.3%(QUICK集計・事前予想:2.5%、当社予想も2.5%)となった。失業率はコロナ禍前の19年12月(2.2%)以来、5年7ヵ月ぶりの低水準となった。

労働力人口が前月から11万人の減少となる中、就業者数が前月から1万人減少し、失業者数は前月から8万人減少の164万人(いずれも季節調整値)となった。失業率はコロナ禍前の水準まで低下したが、労働市場から退出した人が増えたことが失業者の減少をもたらしており、表面的な数字ほど内容は良くない。
就業者数は前年差55万人増(6月:同51万人増)と36ヵ月連続で増加した。男女別には、男性が前年差9万人減と2ヵ月連続で減少したが、女性が前年差63万人増と41ヵ月連続で増加した。女性の就業者数(季節調整値)は前月から6万人増の3135万人となり、2ヵ月連続で過去最高を更新した。
産業別には、製造業(前年差16万人減)、卸売・小売業(同29万人減)は4ヵ月連続で減少したが、情報通信業(同30万人増)、医療・福祉(同22万人増)、宿泊・飲食サービス業(同3万人増)などが増加した。
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ90万人増(6月:同67万人増)と41ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差78万人増(6月:51万人増)と21ヵ連続、非正規の職員・従業員数が前年差14人増(6月:同16万人増)と7ヵ月連続で増加した。

季節調整値では、女性の正規の職員・従業員数が1368万人(前月差39万人増)と過去最高を更新し、正規雇用比率(役員を除く雇用者数に占める正規の職員・従業員数の割合)は48.7%と前月から1.1ポイント上昇した。女性の雇用は正規化を伴いながら順調に拡大している。

2.有効求人倍率は低迷が続く

厚生労働省が8月29日に公表した一般職業紹介状況によると、25年7月の有効求人倍率は前月から横ばいの1.22倍(QUICK集計・事前予想:1.22倍、当社予想は1.23倍)となった。有効求人数が前月比▲0.2%、有効求職者数が同▲0.0%といずれも小幅な減少となった。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.01ポイント低下の2.17倍となった。新規求人数が前月比2.3%と3ヵ月ぶりに増加したが、新規求職申込件数が同2.6%とそれを上回る伸びとなった。
就業者数が順調に増加し、失業率が低下する一方、有効求人倍率は低迷が続いている。有効求人倍率低迷の一因として、企業の求人がハローワーク以外のチャネルにシフトしていることを背景に、ハローワークにおける求人・求職動向が労働市場全体の需給関係を必ずしも反映しなくなっていることが挙げられる。
ただし、厚生労働省が8/26に公表した「雇用動向調査」によれば、ハローワークを通した入職者の割合は長期的に低下傾向が続いているが、24年は16.4%と前年の13.9%から2.5ポイント上昇した。足もとの有効求人倍率の低迷は労働市場の需給バランスの弱含みを一定程度反映している可能性がある。

新規求人数(原数値)は前年比▲1.2%(6月:同▲2.5%)と3ヵ月連続で減少した。産業別には、建設業(前年比0.3%)、情報通信業(前年比2.7%)は2ヵ月連続で増加したが、製造業(▲0.3%)、卸売・小売業(同▲4.7%)、宿泊・飲食サービス業(同▲9.7%)、生活関連サービス・娯楽業(同▲3.6%)などが減少した。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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