EIOPAはソルベンシーIIに関して、7月10日に、保険会社の負担軽減のための監督報告及び開示要件の改正案等を協議のために公開している
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これは、保険会社の報告負担を軽減することを目的としており、このパッケージには、監督報告及び情報公開に関するITSの改正である、「監督当局への情報提出のためのテンプレートに関する欧州委員会施行規則 (EU) 2023/894の改正案(監督報告に関するITS)」、「ソルベンシー及び財務状況報告書の手順、フォーマット及びテンプレートに関する実施技術基準を定める欧州委員会施行規則 (EU) 2023/895の改正案(公開開示に関するITS)」に加えて、「金融安定のための報告に関するガイドラインの改訂案」及び「第三国保険会社の支店の監督に関するガイドラインの改訂案」も含まれている。
監督報告及び情報公開に関するITSの改訂は、ソルベンシーIIの見直しにより導入される特定の変更を、監督報告及び情報公開のテンプレートに組み込む必要性に端を発している。同時に、この改訂は、全セクターにおいて報告負担を少なくとも25%(中小企業は35%)軽減することにより、欧州企業の競争力を強化するという欧州委員会の取り組みに貢献する絶好の機会となった。今回の提案は、関係者からのフィードバックを踏まえ、この目標に沿ったものとなっている。
今回の基準改訂は、2023年に実施された監督報告及び情報公開に関するITSの見直しに基づいており、EIOPAは既に一部の報告要件を簡素化し、要件を簡素化していた。EIOPAは、改正案の提案に先立ち、各国の監督当局と協力し、効果的な監督と金融の安定に真に必要なデータは何かを慎重に評価するとともに、新たなデータ要件の影響についても批判的に評価した。このバランスの取れたアプローチは、EIOPAの規制簡素化に関する包括的戦略と整合している。
この全体的な報告件数の削減は、特定のテンプレートの使用頻度の削減、一部の年次テンプレートの削除、比例原則の活用拡大、そしてフレームワーク全体にわたる技術的な簡素化の導入によって実現した。ソルベンシーIIの見直しに伴う変更と簡素化への重点に加え、この協議文書では、2023年のITSの前回改訂以降に特定された誤りや不一致にも対処しつつ、報告件数の全体的な削減の中で、新たな情報の提出を限定的に求めている。
具体的には、ITSの修正の範囲は、以下の4つの分野に分かれている。
1) レベル1及びレベル2の条文変更に伴う報告義務の変更
2) 最新の監督上の報告に関するITS及び公開に関するITS(2023年12月以降適用)の適用初年度に特定された誤り/不整合の修正
3) 新たな限定された情報の要請
4) 報告削減の提案
このうちの「4)報告削減の提案」については、以下の5つの主要分野をカバーしている。
1) 四半期ごとのテンプレートの頻度の削減
2) 年次テンプレートの削除
3) 比例性の向上
4) 簡素化と明確化
5) 技術的な簡素化
EIOPAは、これらの提案が欧州の保険会社の負担を大幅に軽減すると確信しており、提案通りに実施されれば、報告要件は、単独事業者の場合、年次及び四半期のテンプレートの数で少なくとも26%(データポイント数で22%)、小規模で複雑でない事業者の場合、少なくとも36%削減される見込みとしている。しかもこれは、EIOPA及び各国監督当局が保険契約者保護を維持し、欧州保険セクターの金融安定性を維持する能力を損なうことなく実現される、と述べている。
なお、この公開協議に対するコメントの提出は、2025年10月10日までとなっている。
4―まとめ