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低迷が続く米住宅市場-住宅ローン金利の高止まりから、当面住宅市場の本格回復は見込み難い

2025年08月01日

(窪谷 浩) 米国経済

■要旨
 
  1. 実質GDPにおける住宅投資は25年4-6月期が前期比年率▲4.6%と過去6四半期のうち、4四半期でマイナス成長となり、住宅市場は低迷。住宅着工件数の先行指標である許可件数(3ヵ月移動平均、3ヵ月前比年率)も6月が▲15.6%と2桁のマイナスとなっており、当面は軟調が続く可能性を示唆。
     
  2. 住宅市場の不振は住宅ローン金利と住宅価格の上昇に伴い、住宅取得能力指数の低下にみられるように住宅取得のハードルが上がっていることが要因。
     
  3. 住宅販売件数は中古、新築ともに低調。一方、中古住宅販売在庫が増加してきており、中古住宅販売需給の緩和を通じて中古住宅価格の上昇を抑制する可能性。
     
  4. 住宅購入センチメントは金利低下観測の後退や失業懸念などを背景に低調。また、トランプ政権の関税引き上げによる住宅建設コスト上昇や、厳格な移民政策に伴う労働力不足の深刻化は住宅着工の重石になる見通し。
     
  5. 一方、7月4日に成立した減税・歳出法(OBBBA)では低所得者用住宅税額控除の拡充などが低取得者向け賃貸住宅建設の追い風となる可能性。ただし、OBBBAによる財政悪化懸念を背景に住宅ローン金利の高止まりは長期化するとみられ、当面住宅市場の本格的な回復は見込み難いだろう。

 
■目次

1.はじめに
2.住宅ローン金利や住宅価格の上昇を背景に住宅市場は低迷
  (住宅投資、住宅着工・許可件数)住宅投資は減少、許可件数は当面軟調が続く可能性を示唆
  (住宅ローン金利、住宅価格)住宅ローン金利は高止まり、住宅価格はピークアウトした可能性
  (住宅取得能力指数)住宅ローン金利高止まり、住宅価格上昇から住宅取得能力指数は100割れ
  (住宅販売件数)中古住宅販売は依然低迷も、中古住宅販売需給には改善の兆し
3.今後の見通し

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩(くぼたに ひろし)

研究領域:経済

研究・専門分野
米国経済

経歴

【職歴】
 1991年 日本生命保険相互会社入社
 1999年 NLI International Inc.(米国)
 2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
 2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
 2014年10月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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