総務省が5月23日に公表した消費者物価指数によると、25年4月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比3.5%(3月:同3.2%)となり、上昇率は前月から0.3ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:3.4%、当社予想も3.4%)を上回る結果であった。
高校授業料の実質無償化(所得制限撤廃)が押し下げ要因となったが、電気・都市ガス代の補助金縮小により電気代、都市ガス代の上昇率が拡大したこと、食料(生鮮食品を除く)の伸びが一段と加速したことがコアCPIを押し上げた。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比3.0%(3月:同2.9%)、総合は前年比3.6%(3月:同3.6%)となった。
コアCPIの内訳をみると、電気代(3月:前年比8.7%→4月:同13.5%)、ガス代(3月:前年比2.4%→4月:同4.4%)、ガソリン(3月:前年比6.0%→4月:同6.6%)、灯油(3月:前年比8.8%→4月:同9.5%)、の上昇率がいずれも前月から拡大したため、エネルギー価格の上昇率は3月の前年比6.6%から同9.3%へと拡大した。
食料(生鮮食品を除く)は前年比7.0%(3月:同6.2%)と上昇率が前月から0.8ポイント拡大した。食料(生鮮食品を除く)は24年7月の前年比2.6%を底に9ヵ月連続で上昇率が高まった。米類が前月からさらに伸びを高めた(3月:同92.1%→4月:同98.4%)ことに加え、それ以外の品目でも値上げの動きが継続している。
食料の内訳をみると、米の価格高騰がすし(弁当)B(前年比13.8%)、おにぎり(同18.1%)、冷凍米飯(同12.6%)、無菌包装米飯(同16.6%)など関連品目に波及しているほか、干しのり(前年比16.3%)、チョコレート(同31.0%)、調理パスタ(同11.9%)、コーヒー豆(同24.8%)、果実ジュース(同14.6%)など幅広い品目で前年比二桁の高い伸びが続いている。
外食は前年比4.1%(3月:同3.6%)と上昇率が前月から0.5ポイント拡大した。外食は24年6月の前年比2.6%を底に10ヵ月連続で上昇率が高まった。
サービスは前年比1.3%(3月:同1.4%)と上昇率が前月から0.1ポイント縮小した。外食のほか、鉄道運賃(JR)(3月:前年比0.1%→4月:同1.5%)、補習教育(3月:前年比1.9%→4月:同2.8%)、テーマパーク入場料(3月:前年比1.7%→4月:同3.8%)などは上昇率が高まったが、高校授業料の実質無償化により、高等学校授業料(公立)(3月:前年比▲6.7%→4月:同▲94.1%)の下落率が急拡大したことがサービス価格を押し下げた。