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コラム

チェス盤を用いた伝心-愛情と計算力があれば心は通じる?

2025年05月13日

(篠原 拓也) 保険計理

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◇ 具体例で確認

最後に、この伝心方法がうまく機能するかどうか、具体例を使って確認しておこう。次のようにチェス盤の上にコインが置かれていて、4行3列のマスが試験官に『指定されたマス』だったとする。
この例では、表向きのコイン(○)が18枚、裏向きのコイン(●)が46枚となっている。表のほうが少ないので、表向きのコインのマスで計算していくことにしよう。
 
18枚の表のコインのマスを6ケタの2進数で表示して、⊕での合計を筆算で計算してみる。
合計は110100(10進数では52)となった。一方、『指定されたマス』に割り当てられた数は26で、6ケタの2進数では011010となる。そこで、この2つを足し算して、110100 ⊕ 011010 = 101110 となり、10進数では46が答えとなる。つまり、先に入室した人は、46(2進数では101110)を割り当てた6行7列のマスのコインをひっくり返せばよい。
 
後に入室した人には、6行7列のマスの表向きのコインがひっくり返されて裏向きとなっているので、表向きのコインの数は17枚というふうに見える。
 
後に入室した人は、17枚の表のコインのマスを6ケタの2進数で表示して、⊕での合計を筆算で計算する。
合計は011010(10進数では26)となった。つまり、後に入室した人は、4行3列のマスが『指定されたマス』だと言い当てることができる。

(参考文献)
 
"Mathematical Puzzles" Peter Winkler (CRC Press, 2021)

"Nim"(Wikipedia)
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