(2) 欧州委員会
欧州委員会は、EIOPAが作成する規制技術基準案や実施技術基準案に基づいて、これらの技術基準を採択することに加えて、以下のことが求められる。
・2027年1月29日までに、EIOPAと協議した後、EU域内の「保険保証制度」
10に関する最低共通基準の妥当性を評価する報告書を欧州議会及び理事会に提出する。報告書は、少なくとも以下のことを含まなければならない(IRRD第98条)。
(a) 加盟国における保険保証制度の実施状況を評価する(補償レベル、対象となる保険の種類、トリガー)
(b) 加盟国における様々な保険商品の違いを十分に考慮して、保険契約の継続又は清算のために保険保証制度を利用するなどの様々な政策オプションを含む政策オプションについて議論する。
(c) EU全体で保険保証制度の最低基準を導入する必要性を評価し、適切な場合には、その導入に必要な手順の概要を説明する。
さらに、報告書には、必要に応じて立法案を添付するものとする。
・2030年1月29日までに、EIOPAと協議した後、この指令の適用に関する報告書を欧州議会及び理事会に提出する。報告書は、特に以下のことを含まなければならない(IRRD第99条)。
(a) 市場及び経済の発展に照らして、域内市場の機能及びEUにおける金融システムの強化に関して、本指令の目的が達成されたかどうか、どの程度達成されたかを評価する。
(b) 破綻処理のための資金調達に関する取決めの実施状況を評価する。
(c) 対象となる保険契約及び適格な請求者及び保険契約の水準に関する最低限の調和された定義を導入する必要性を評価し、適切な場合には、導入するために必要なステップの概要を示す。
(d) 保険会社が金融コングロマリットの一部である場合における、保険会社の監督又は破綻処理の権限を有する当局と信用機関との間の情報共有の経験を分析する。
(e) 金融コングロマリットがコングロマリット全体のための単一グループ(先制的)再建計画を策定することを認めること及び破綻処理当局が金融コングロマリット全体のための単一グループ破綻処理計画を策定することを認めることの実現可能性及び前提条件を評価する。
(f) 保険会社のための危機管理枠組みのさらなる調和のメリットを分析する。
さらに、報告書には、必要に応じて立法提案を添付するものとする。
10 「保険保証制度(Insurance Guarantee Scheme:IGS)」は、日本の「保険契約者保護機構」)に相当する「保険契約者保護制度(Policyholder Protection Scheme:PPS)」であり、保険会社が破綻した場合でも、破綻保険会社の保険契約の移転等(移転、合併、株式取得)における資金援助等を行うことにより、保険契約者等の保護を図ることを目的として設立されている制度