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特定技能制度の概要と現状
特定技能制度は深刻化する人手不足への対応として、生産性の向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に限り、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受入れるために2019年4月に創設された。厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」によると、特定技能外国人数は2024年10月末時点で21万人、前年比49.4%と急増し、雇用者に占める割合は0.3%となっている(図表10)。
特定技能にはスキルレベルに応じて1号と2号の2種類がある。特定技能1号は相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、16分野が対象となっている。特定技能制度以外で就労が認められる専門的・技術的分野に比べると求められる技能水準は一段低い。ただし、技能実習よりは高い技能が求められる。在留期間は最長で5年となっている。
前述の通り、在留資格獲得のためには、技能試験・日本語能力試験N4等に合格
9する必要がある。現行制度では技能実習2号を良好に修了
10した場合、試験は免除となるが、育成就労制度移行後は、試験の合格が必須となる。
特定技能2号は熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、11分野
11が対象となっている。他の専門的・技術的分野と同等以上に高い技能を求められ、特定技能2号評価試験や技能検定1級の合格等
12によって特定技能2号を獲得することができる。最も大きな特徴は在留期間の上限が無いことと家族の帯同が可能となることである。
9 介護、自動車運送業及び鉄道分野は別途要件あり
10 2年10ヵ月以上の技能実習の修了と技能検定3級又はこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格等
11 特定技能1号対象分野のうち、2024年4月に新たに追加された「自動車運送業」、「鉄道」、「林業」、「木材産業」と、専門的・技術的分野としてすでにある「介護」を除いた11分野
12 育成就労制度開始後は、日本語能力試験N3等の合格の必要となる
3――技能実習と育成就労、特定技能の労働力への影響