タイパ時代の「脱タイパ」消費とは-「消費に失敗したくない」Z世代

2025年02月17日

(廣瀬 涼) 消費者行動

■要旨

15歳~69歳の男女1,200人を対象に調査を行った「セイコー時間白書2024 」によると、普段の生活において、調査対象の58.0%が「タイパ(タイムパフォーマンス) を意識して行動している」と答え、78.5%が「なるべく早く正解にたどり着きたい」、71.5%が「なるべく無駄な時間は過ごしたくない」と回答している。

併せて、タイパを重視する考え方の社会への定着については60.5%が「社会に定着したと思う」と回答しており、労力や労働にかかる時間を短縮したり、動画の倍速視聴やマンガなどのコンテンツをネタバレしてから消費するなど、関係的価値や交流的価値(コミュニケーションのネタ)を求めて手間や時間を省く行為が、日常における消費の手段として浸透していることが伺える。一方で、このようなタイパ時代と逆行するような「脱タイパ消費」の傾向も垣間見られる。本レポートでは3つのケースからZ世代における「脱タイパ」の背景と、その要因を検討していく。

■目次

本レポートのポイント
1――はじめに
2――ケース1 慎重な情報収集とマイベストバイ
3――ケース2 サプライズを避けたい
4――ケース3 リスク回避のためのネタバレ消費
5――「損」をしたくない
6――脱タイパの背景
7――「わざわざ」が意味する事
8――さいごに

生活研究部   研究員

廣瀬 涼(ひろせ りょう)

研究領域:暮らし

研究・専門分野
消費文化論、若者マーケティング、サブカルチャー

経歴

【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
     ニッセイ基礎研究所入社

・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員

【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会

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