2期目のトランプ政権が発足-政策公約実現に向けてロケットスタート。注目される関税政策の行方

2025年01月31日

(窪谷 浩) 米国経済

(経済閣僚人事):関税政策の実現に向けた布陣

2期目のトランプ大統領に指名された主要な経済閣僚および候補者を示した(図表6)。
このうち、財務長官に指名されたベッセント氏が27日に上院で承認されたほか、上院での承認が必要ない国家経済会議(NEC)委員長のハセット氏が就任した。

一方、財務長官、商務長官、米通商代表部代表、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長、NEC委員長に指名された閣僚や候補者はトランプ大統領が実現を目指す関税政策を支持するスタンスを明確にしており、関税政策の実現に向けた布陣となっている。

もっとも、関税政策に関してトランプ氏と経済閣僚の間で具体的な進め方などに関しての合意はないようだ。一部報道でベッセント氏、ミラン氏、ハセット氏が含まれる経済チームで関税を月毎に2~5%引上げる案が検討しているとされたほか、ベッセント氏は全輸入品に対するユニバーサル関税を2.5%から開始する案を支持すると表明している。これに対してトランプ氏は2.5%よりはるかに大きい関税をかけることを表明しており、見解が相違している。トランプ氏は閣僚候補の選定にあたって同氏に対する忠誠心を判断基準にしていると報じられており、最終的にはトランプ氏の決定に従うことになるとみられる。とりあえず、2月1日にトランプ氏の発言通りにカナダとメキシコに25%関税が賦課されるのかが今後の関税政策を占う上での試金石となろう。

3.当面の注目スケジュール

3.当面の注目スケジュール

当面の注目スケジュールとして2月1日の関税期限を除けば、内政面では3月4日に予定されている上下院合同会議での姿勢方針演説と3月中の発表が見込まれる予算教書が挙げられる(図表7)。大統領令で公約実現に向けた決意を示しロケットスタートを切ったものの、政策実現のためには議会による予算措置が必要となる。このため、具体的にどのような政策パッケージが示され、どのような予算要求を行うのか注目される。

一方、3月14日には25年度の暫定予算の期日が到来する。財政責任法では25年度の歳出法案が4月30日までに成立しない場合に、裁量的経費の国防費、非国防費ともに前年度実績から▲1%の強制歳出削減が発動するため、夏場までに抵触するとみられる連邦債務上限の処理も含めてどのような対応を行うのか注目される。

外交面では6月中旬にG7首脳会議が、11月下旬にはG20首脳会議が予定されており、注目される。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩(くぼたに ひろし)

研究領域:経済

研究・専門分野
米国経済

経歴

【職歴】
 1991年 日本生命保険相互会社入社
 1999年 NLI International Inc.(米国)
 2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
 2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
 2014年10月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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