子育て世帯にとっての「いい住まい」とは何か~子育て世帯が求めるコミュニティの構築に向けて~

2024年11月29日

(胡 笳) 不動産市場・不動産市況

■要旨

日本が直面する長期的な人口減少社会において、いかに持続可能な社会を築けるかが大きな課題になっている中で、少子化対策、子育て支援の一環として、民間が整備する子育て世帯に適した住宅を認定する制度を設ける自治体が増えている。

中でも東京都は、認定した子育て世帯に適した住宅の整備費の一部を補助する制度を設けており、補助額も新築賃貸住宅の場合、1住戸あたり最大200万円、さらに子育て交流促進施設を設ける場合には、申請1件につき500万円と手厚い。

この「東京こどもすくすく住宅認定制度」の特徴の一つに、コミュニティ形成に関する基準を設けている点がある。子育て世帯では特有のニーズとして、コミュニティ形成や情報共有の重要性が指摘されており、それに応える基準と言える。本稿では、東京都の認定制度を取り上げながら、子育て世帯に特有の住まいのニーズを整理し、それに基づいて子育て世帯にとっての「いい住まい」とは何かを考察する。

■目次

1――東京都子育て支援住宅認定制度の概要とコミュニティに関する基準の運用状況
  1|東京都子育て支援住宅認定制度の概要
  2|コミュニティ形成に関する基準の運用状況
2――世帯別住まいに対するニーズの検証~子育て世帯と一般世帯の比較
  1|住宅に求める要素の比較
  2|居住環境に求める要素の比較
  3|長子の年齢別コミュニティに関する要素の重要度の比較
3――子育て世帯がコミュニティに求めるもの
4――おわりに

社会研究部   研究員

胡 笳(こ か)

研究領域:不動産

研究・専門分野
中国REIT、中国不動産全般

経歴

【職歴】
 2018年 早稲田大学 アジア太平洋研究科 博士(学術)
 2018年 ニッセイ基礎研究所 入社
【資格】
 環境プランナー、国際環境リーダー

【加入団体等】
 日本NPO学会、Nonprofit Management & Leadership(米)

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