インド経済の見通し~当面は総選挙を控え投資が鈍化、景気減速へ

2024年03月06日

(斉藤 誠) アジア経済

■要旨
 
  • インド経済は2023年10-12月期の成長率が前年同期比+8.4%(7-9月期:同+8.1%)と上昇した。10-12月期の高成長は公共投資の好調による影響が大きい。民間消費は農村需要の減退を受けて伸び悩んでいるものの、都市部の雇用環境が安定しており7-9月期から持ち直した。
     
  • 先行きは次回総選挙を前に投資が鈍化するほか、金融引き締めの累積効果が徐々に経済活動の重石となり、景気の減速傾向が続くだろう。しかしながら、総選挙後の民間投資の回復や公共投資の持続的な拡大により投資主導の成長は続きそうだ。民間消費も農業生産の回復により持ち直していくと予想する。成長率は24年度が前年度比+6.4%(23年度:同+7.6%)と低下するが、順調な成長軌道を維持すると予想する。


■目次

・GDP統計の結果:8%台の高成長
・経済概況:投資好調で+8%の高成長
・(物価の動向)食品流通改善や金融引き締めにより当面低下へ
・(金融政策の動向)今年前半まで金利据え置きを予想
・(財政政策)24年度国家予算案は財政健全化路線を維持
・経済見通し:当面は総選挙を前に投資が鈍化、景気減速へ

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠(さいとう まこと)

研究領域:経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴

【職歴】
 2008年 日本生命保険相互会社入社
 2012年 ニッセイ基礎研究所へ
 2014年 アジア新興国の経済調査を担当
 2018年8月より現職

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