属性による各志向を構成する変数の影響度合いの違いから、その特徴を深堀することができる。
例えば、「慎重消費」志向を構成する変数について、あてはまる割合(「あてはまる」+「ややあてはまる」)を見ると、いずれも女性が男性を上回り、特に「ものをなるべく持たないシンプルな生活を送りたい」や「ものを買う時は、品質や成分表示を十分に確認する」では女性が男性を大幅に上回る[図表3]。つまり、女性は「慎重消費」志向が高いが、特に(不要に)モノを増やさないことや品質の十分な確認には慎重であるようだ。
同様に年代別には、おおむね年齢が高いほど、あてはまる割合が高い傾向があり、特に「ものを買う時は、品質や成分表示を十分に確認する」や「できるだけ長く使えるものを買う」、「価格が品質に見合っているかどうかをよく検討する」で目立つ。つまり、年齢が高いほど「慎重消費」志向が高く、シニアでは特に品質の十分な確認やコストパフォーマンスに対する意識が強いようだ。
「所有より利用」志向については、男性は「ものを買って所有するよりも、できるだけレンタルやサブスクリプションサービスなどを利用したい」や「まとまった借金(住宅ローン等を除く)をすることに抵抗はない」で、女性は「フリマアプリやリサイクルショップなどで、不要品を積極的に売りたい」で、あてはまる割合が高い[図表4]。
つまり、男性の方が「所有より利用」志向は高いが、女性に比べ(モノを売ることよりも)モノを利用する意向が強い。一方、女性は「所有より利用」志向は低いが、男性と比べてモノ(不要品)を売る意向は強い。
年代別には、いずれも若いほど、あてはまる割合が高い傾向があり、売る意向も利用する意向も強い。ここからも、若者では「必要な時に必要な量だけ利用する」という価値観が消費行動の土台となっている様子がよく分かる。
「顕示的消費」志向については、男性は「人より先に新しい商品を買いたい」や「既製品より、自分の好みや体型などにあったパーソナルオーダー品を買いたい」で、女性は「いつも予定より多く買い物をしてしまう」で、あてはまる割合が高い[図表5]。
つまり、女性の方が「顕示的消費」志向が高く男性に比べ量を買ってしまう傾向が強い一方、男性の方が「顕示的消費」志向は低いが、新製品やオーダー品の購入意向は女性より強い。
年代別には、若いほど「計画的に買い物をするより、衝動買いをよくする」や「人より先に新しい商品を買いたい」、「既製品より、自分の好みや体型などにあったパーソナルオーダー品を買いたい」で、あてはまる割合が高い傾向がある。また、20歳代と70~74歳では「無名なメーカーよりは有名なメーカーのものを買う」や「普及品より、多少値段がはってもちょっといいものが欲しい」で他年代と比べてやや高い。
つまり、「顕示的消費」志向はシニアと若者で高いが、シニアでは名のある高級品に、若者では新製品などの衝動買いやオーダー品に、それぞれ消費する価値を求める傾向にあるといえる。
「C2C(個人間売買)・中古品受容」志向を構成する変数は2つであり、あてはまる割合は、いずれの属性でも、2つとも同程度である(図表略)。