企業物価指数2023年12月~先行きも前年比横ばい圏が続く見込み~

2024年01月16日

(安田 拓斗) 日本経済

1.国内企業物価指数(前年比)は横ばいに

日本銀行が1月16日に発表した企業物価指数によると、2023年12月の国内企業物価は、前年比0.0%(11月:同0.3%)と12ヵ月連続で伸びが鈍化した。

内訳をみると23類別中、17類別が上昇、1類別が横ばい、5類別が低下となった。食料は前年比4.4%(11月:同4.4%)、非鉄金属は同4.3%(11月:同4.6%)とプラスで推移した。一方、電力・都市ガス・水道は政府による電気・都市ガス価格激変緩和対策により前年比▲27.6%(11月:同▲24.5%)と、6ヵ月連続でマイナスとなり全体を押し下げ、鉄鋼も同▲3.4%(11月:同▲3.9%)とマイナスで推移を続けた。
前月比では、0.3%(11月:同0.3%)と2ヵ月連続のプラスとなった。内訳をみると23類別中、13類別が上昇、3類別が横ばい、7類別が低下となった。化学製品は前月比▲0.3%(11月:同▲0.2%)と2ヵ月連続でマイナスとなり、金属製品は同▲0.4%(11月:同0.0%)とマイナスへ転じた。一方、石油・石炭製品は前月比3.7%(11月:同3.2%)と2ヵ月連続で高い伸びとなった。

2.円高が進行したことで円ベースの輸入物価は低下

2023年12月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比0.0%(11月:同0.2%)と横ばいとなった。内訳をみると、10類別中5類別で上昇、2類別で横ばい、3類別で低下となった。石油・石炭・天然ガスは前月比▲0.5%(11月:同0.9%)と4ヵ月ぶりにマイナスに転じた。

2023年12月の円相場(対ドル)は前月比▲3.9%と8ヵ月ぶりにマイナスに転じたことで、輸入物価は円ベースで同▲3.0%(11月:同0.5%)と5ヵ月ぶりにマイナスとなった。円ベースの前年比は▲4.9%(11月:▲6.4%)と9ヵ月連続でマイナスとなった。

3.国内企業物価指数の前年比上昇率は横ばい圏が続く

国内企業物価の前年比上昇率は、鈍化の速度は低下しているものの、12ヵ月連続で伸びが鈍化している。政府の燃料油価格激変緩和措置や電気・都市ガス料金の負担軽減策に加え、前年の高い伸びの裏がでることもあり、当面は横ばい圏が続くだろう。
 
 

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経済研究部   研究員

安田 拓斗(やすだ たくと)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済

経歴

【職歴】
 2021年4月  日本生命保険相互会社入社
 2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ

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