改正ベトナム保険事業法(3)-契約総論(その2)

2023年10月24日

(松澤 登) 保険会社経営

■要旨

2023年1月より施行された改正ベトナム保険事業法の解説の3回目である。今回は、保険事業法の契約総論の第2回目(法24条~27条)を解説する。
 
法24条は約款作成者不利の原則を規定する。国際的にも一般的な解釈原則だが明文化されているところに特徴がある。
 
法25条は保険契約の無効である。被保険利益が契約時に存在しない場合や詐欺による保険加入など、日本では保険法あるいは民法によって無効あるいは取消ができる事項が列挙されている。
 
法26条は保険契約の一方的終了(=解約または解除)を定める。特徴的なのは、被保険者が火災防止や安全対策を実施しなかったことによる保険企業等からの契約解除である。このような法律は日本に存在しない。
 
法27条は法26条で一方的終了した場合の契約の取扱いや解約返戻金・未経過保険料の取扱いである。これはほぼ日本の保険法と同様である。

■目次

1――はじめに
2――保険契約の解釈 (24条~25条)
  1|保険契約の解釈の原則(24条)
  2|保険契約の無効(25条)
3――保険契約の効力(26条~27条)
  1|保険契約の一方的終了(26条)
  2|保険契約の一方的終了の法的効果(27条)
4――おわりに

保険研究部   専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登(まつざわ のぼる)

研究領域:保険

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

経歴

【職歴】
 1985年 日本生命保険相互会社入社
 2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
 2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
 2018年4月 取締役保険研究部研究理事
 2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
 2024年4月より現職

【加入団体等】
 東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
 東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
 大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
 金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
 日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等

【著書】
 『はじめて学ぶ少額短期保険』
  出版社:保険毎日新聞社
  発行年月:2024年02月

 『Q&Aで読み解く保険業法』
  出版社:保険毎日新聞社
  発行年月:2022年07月

 『はじめて学ぶ生命保険』
  出版社:保険毎日新聞社
  発行年月:2021年05月

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)