3-2. オフィスビルの新規供給見通し
(1)仙台都心部で進む再開発
仙台市は、老朽化したビル等の建て替えによる高機能オフィスの整備と、企業誘致の促進を目指す「せんだい都心再構築プロジェクト」を2019年7月より始動した。具体的な施策として、「仙台市都心部建替え促進助成金制度の創設」や「高機能オフィスの整備に着目した容積率の緩和」、「仙台市市街地再開発事業補助金制度の拡充」等、が講じられている。
さらに、仙台市は、2020年10月に「せんだい都心再構築プロジェクト」に関する第2弾の施策を公表した。環境に最大限配慮した建築物(グリーンビルディング)の整備を誘導するほか、老朽建築物の建替えを推進する目的で、テナントの移転に支援制度を創設した。こうした施策の拡充に伴い、仙台中心部では複数の再開発計画が進展している。
同プロジェクトの助成制度を活用した第一号案件として、NTT都市開発は「アーバンネット仙台中央ビル」(延床面積約4.2万㎡・地上19階建て)を開発し、2023年11月に竣工予定である
7(図表-18 ①)。続いて、ウッドライズキャピタル
8は国分町1丁目に「ウッドライズ仙台」(延床面積1.0 万㎡・地上10階建て)を開発し、2023年11月に竣工予定である(図表-18 ②)。
また、東京建物は仙台駅前の南町通に「T-PLUS仙台」(延床面積1.4 万㎡・地上12階建て)を開発し、2024年1月に竣工予定
9である(図表-18 ③)。鹿島建設は中央三丁目でオフィスと店舗からなる複合ビル(延床面積1.3万㎡・地上11階建て)を開発し、2025年3月の完成を目指している
10(図表-18 ④)。
また、東日本興業(東北電力系の不動産管理会社)、戸田建設、明治安田生命保険、三菱地所等は、「電力ビル」中心とした一体開発を計画しており
11、2023年5月に「せんだい都心再構築プロジェクト」の「グリーンビルディング」第1号案件に認定された
12。同計画では、オフィスや音楽ホールが入居する高層複合ビル2棟(南棟:約180m・北棟約135m)等を開発し、2035年頃の竣工を目指すとしている
13(図表-18 ⑤)。