①健康寿命の延伸と健康格差の縮小
健康寿命は、男女とも策定時と比べて平均寿命の増加分を上回って延伸していた。しかし、健康寿命が最も長い県と短い県の差は、男性は改善していたが女性は悪化しており格差は拡大していた。
②主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防
75歳未満のがん年齢調整死亡率、脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率、血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合は低下しており、目標を達成していた。また、特定健診やがん検診の受診率、収縮期血圧は改善傾向にあったが、メタボリックシンドローム該当者・予備群は増加していた。循環器系疾患やがんを発症した人の治療は改善しているが、発症リスクを抑えられていない可能性が考えられる。
③社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
小児科医・児童精神科医師、認知症サポーター数は増加しており、目標を達成していた。子どもについては、低出生体重児の割合、肥満傾向にある子どもの割合が増加しており、適正体重の子どもの数は改善していなかった。高齢者については、低栄養傾向の高齢者の割合が抑制されているほか、足腰に痛みのある高齢者の割合が改善しており、高齢者の健康増進が進んでいる可能性があった。
④健康を支え、守るための社会環境の整備
健康づくりに関する活動に取り組む企業や健康格差対策に取り組む自治体の数が増加していた。
⑤栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善
適正体重を維持している者の割合、および運動習慣者の割合は変わらないとされたが
5、男性20歳~60歳代の肥満者の割合、および女性20歳~64歳の運動習慣者の割合は悪化していた。生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者は男性では変わらなかったが、女性は悪化していた。また、睡眠による休養を十分とれていない者の割合は悪化していた。
未成年者の喫煙、飲酒、妊娠中の喫煙、飲酒、受動喫煙はいずれも改善傾向にあった。
ここに紹介したとおり、特定健診やがん検診の受診率は改善傾向にあり、循環器系疾患やがんにおける治療も改善している可能性がある。また、健康づくりに関する活動に取り組む企業や健康格差対策に取り組む自治体の数は増加しており、社会における健康づくりのサポート環境は改善していると考えられる。
高齢者については、上述のとおり生活習慣病の治療が改善していることや、認知症サポーター数の増加、足腰に痛みがある高齢者の減少、社会参加の促進が進んでおり改善している項目がある。しかし、20~64歳の世代については、男性で肥満、女性で運動習慣がないことなどの課題があるほか、全年齢を通じて、適切な量と質の食事の確保や睡眠不足等の点で、目標に到達しておらず、改善の余地がると考えられる。
3――健康日本21(第三次)に向けて