コロナ禍におけるオフィス出社動向-携帯位置情報データによるオフィス出社率の分析

2023年05月25日

■要旨

本稿では、日本の主要6都市(東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台)における74エリアのオフィス出社率を、クロスロケーションズの携帯位置情報データを用いて推計し、新型コロナウイルス感染症の流行期間中の動向を分析した。その概要は以下の通りである。
 
(1)主要6都市のオフィス出社率は、都市により水準は異なるものの、大方同じトレンドを辿っている。現在はポストコロナへの移行期において、オフィスへの復帰は緩やかに進行しているが、依然としてコロナ禍前の出社率には達していない。
 
(2)2023年4月最終週の東京都心5区のオフィス出社率は70.8%であり、東京の周辺エリアの81.2%よりも低い。また、都心5区内では港区と千代田区の出社率が相対的に低く、新宿区、渋谷区、中央区は高い。
 
(3)東京都心5区のエリア別では、初台・本町・笹塚(90.7%)や日本橋本町・日本橋室町(86.1%)などがオフィス出社率の高いエリアとして挙げられる一方、芝浦・海岸(62.3%)や飯田橋・九段(62.5%)などが低いエリアとなる。これらの差は、エリアのビル規模や企業の特性などが影響していると推察される。

■目次

1――経済正常化に向かうなかオフィス回帰は進むのか?
2――日本の主要6都市のオフィス出社率
3――東京都心5区のオフィス出社率
4――東京都心5区のエリア別のオフィス出社率
5――おわりに
参考資料

筑波大学大学院 システム情報工学研究群 松尾 和史

筑波大学 システム情報系 教授 堤 盛人

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