韓国の出生率0.78で、7年連続過去最低を更新-少子化の主な原因と今後の対策について-

2023年03月09日

(金 明中) 社会保障全般・財源

■要旨
 
  • 韓国の2022年の合計特殊出生率(以下、出生率)は0.78(暫定値)となり、2021年の0.81を下回り2015年の1.24を記録して以降、7年連続で過去最低を更新した。
     
  • 韓国における少子化の主な原因としては、若者がおかれている経済的状況が良くないこと、若者の結婚及び出産に関する意識が変化したこと、育児政策が子育て世代に偏っていること、男女差別がまだ残存していること、子育ての経済的負担感が重いこと等が考えられる。
     
  • 合計特殊出生率が低下する中で韓国の歴代政権は、保守政権でも進歩政権でも保育などの子育て関連政策には積極的な立場を表明していると言える。
     
  • ジャン=ジャック・ルソーの「教育とは、機械をつくることではなく、人間をつくることである。」に基づいて、子供が自ら考え、判断し、そして行動してその結果に対する責任を自ら引き受けられるような教育が受けられるように一から教育制度を見直すべきである。


■目次

1――韓国の出生率が7年連続過去最低を更新
2――韓国における少子化の原因
  (1)若者がおかれている経済的状況が良くない
  (2)若者の結婚及び出産に関する意識が変化
  (3)育児政策が子育て世代に偏っている
  (4)男女差別がまだ残存する
  (5)子育ての経済的負担感が重い
3――保守・進歩政権ともに少子化対策を実施
結びに代えて
付録 韓国で現在子育て世代に支給されている主な手当
  (1)保育手当と養育手当
  (2)育児休業給付金
  (3)パパ育児休業ボーナス制度
  (4)3+3親育児休業制度
  (5)児童手当
  (6)「親給与」

生活研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中(きむ みょんじゅん)

研究領域:社会保障制度

研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計

経歴

プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職

・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師

・2019年  労働政策研究会議準備委員会準備委員
       東アジア経済経営学会理事
・2021年  第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員

【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)

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