負担感や世代間格差に関する記事や画像が年金ツイートの契機に-「年金」を含むツイートの投稿契機 (2022年11月)

2023年02月09日

(中嶋 邦夫) 公的年金

3|リンクを含むツイート:負担増に関する記事へのリンクを含むツイートが多数
図表2の「c: 参照_News等」は、前述の区分以外のツイートのうち、新聞やニュースのサイトへのリンクを含むツイートである。ニュースサイト等に掲載された記事を見て、記事の脇のアイコンから投稿した場合などが想定される。「d: 参照_News外」は他のサイトへのリンクを含むツイートである。

図表3を見ると、「c: 参照_News等」のツイート数と投稿者数は11月2日と5日と11日で多く、他の区分より投稿日ごとの変動が大きかった。 いいね数やリツイート数はともに11月6日に突出して多く、11日もともに多かった。また、 いいね数は5日、リツイート数は8日にも多かった。「d: 参照_News外」は、ツイート数と投稿者数では変動が小さかったが、 いいね数とリツイート数は5日と9日と14日と30日で、ともに多めだった。

図表6の上段は、「c: 参照_News等」と「d: 参照_News外」に区分されたツイートからの参照数(ツイート数)が投稿日別に見て多かったWebページである。最も多く参照されたのは、11月4日にYahoo!ニュースへ転載されたSmartFLASHの記事で、同年4月分からの年金額の引下げや国民年金保険料の拠出期間延長案などがTwitterで10月に話題になったことを紹介する内容だった。

図表6の下段は、リツイートが多かったツイートが参照したWebページである。参照数が多いリンク先へのリツイート数が多かったが、リツイート数が最多のものは参照数が少ないリンク先だった。
4|単独で発信されたツイート:投稿契機は不明だが、他の投稿契機と概ね連動
図表2の「e: 単独発信」は、前述の区分以外のツイートで、投稿形態やリンクからは投稿契機を推測できない。を見ると、いずれの指標においても、概ねどの日もこの区分が最も多い。ツイート数や投稿者数は他の区分と連動する傾向があるが、11月10日はこの区分だけが多めだった。 いいね数やリツイート数は他の区分のツイート数とある程度連動していたが、連動していない日もあった。

3 ―― 総括

3 ―― 総括:特段のニュースはなく、負担感や不公平感に関する記事などが投稿契機に

1|投稿の傾向:負担感に関する記事や世代間の不公平に関する画像が投稿の契機に
分析対象となった年金ツイートでは、次のような傾向が観察された。
 
  • 2022年11月に投稿された年金ツイートの数は約14万件で、改革案が話題になった前月(約23万件)と比べて少なかった。
     
  • 11月11日にYahoo!ニュースへ転載されたSmartFLASHの記事は、中小企業におけるパート労働者への厚生年金のさらなる適用拡大の検討に関する記事で、年金ツイートからの投稿日別に見た参照数が多かった。また、この記事の要約とネット上のコメントなどをまとめたWebページを紹介するツイートが年金を含む返信ツイートや引用リツイートを多く集めており、この記事を参照した年金ツイートのリツイート数も多かった。
     
  • 11月4日にYahoo!ニュースへ転載されたSmartFLASHの記事は、年金額の引下げや国民年金保険料の拠出期間延長などが10月にTwitterで話題になったことを紹介する記事で、投稿日別に見た年金ツイートからの参照数が最多だった。また、この記事を参照した年金ツイートのリツイート数も多かった。
     
  • 11月16日に投稿されたテレビで紹介されたと思われる世代間格差を示すグラフの画像が添付されていたツイートに対する、年金を含む返信ツイートや引用リツイートが多かった。
2|考察:Twitterユーザーは、普段から負担感や不公平感に関心を持っている可能性
今回の期間では、負担感に関する記事や世代間の不公平に関する画像が投稿の契機になっていたが、これらは特段のニュース(新しく判明した事実)ではなかった。例えば、11月4日にYahoo!ニュースへ転載されたSmartFLASHの記事は10月にTwitterで話題になったことを紹介する内容であった。また、11月11日にYahoo!ニュースへ転載されたSmartFLASHの記事は11月9日に日本経済新聞に掲載された記事の波紋を紹介する内容で、この日本経済新聞の記事で紹介されていた全世代型社会保障構築会議の検討内容は2020年5月に成立した年金制度改正法の附則や附帯決議で取り上げられていた検討項目であった。

これらがTwitter上で話題になった背景としては、過去に話題になっていたことがTwitterユーザーの中ではあまり知られていなかった可能性や風化していた可能性、Twitterユーザーが普段から負担感に関心を持っていた可能性が考えられる。また、世代間格差を示すグラフの画像が添付されていたツイートに対する返信ツイートや引用リツイートが多かったことは、Twitterユーザーが普段から不公平感に関心を持っていることを表している可能性がある。

保険研究部   上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任

中嶋 邦夫(なかしま くにお)

研究領域:年金

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

経歴

【職歴】
 1995年 日本生命保険相互会社入社
 2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
 2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)

【社外委員等】
 ・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
 ・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
 ・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
 ・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
 ・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)

【加入団体等】
 ・生活経済学会、日本財政学会、ほか
 ・博士(経済学)

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