ベトナム生命保険市場(2021年版)

2023年01月17日

(松澤 登) 保険会社経営

■要旨

ベトナムは東南アジアに位置し、東南アジア諸国連合(アセアン)加盟にする発展途上国で、第二次大戦後も戦争が続いたため経済発展が遅れてきたが、1986年に採用されたドイモイ(刷新)政策の下で経済発展が続いてきた。
 
2021年に、新型コロナ感染デルタ株の大きな波が来たことを受け、政府が厳格なロックダウンを行い、国際サプライチェーンに支障をきたすなど経済に大きな影響を与えた。ただし、農林水産業、工業・鉱業が堅実な成長を見せ、輸出入も順調に伸長した。
 
生命保険業界においては新型コロナ禍の影響は大きくなく、コロナ禍前に引き続き販売拡張が継続している。
 
ベトナムの生命保険業界においては従来、貯蓄型・投資型生命保険の販売比率が高かったが、2021年は収入保険料ベースで投資連動型保険の販売占率が84.24%となる一方、貯蓄性保険である養老保険の販売占率が2.55%まで縮小し、リスク選好志向がより明確になった。
 
生命保険会社の保有契約シェア順位(収入保険料ベース)では、マニュライフが、新契約シェア(収入保険料ベース)で2018年以降、首位を維持している。以下、Manulife(18.65%)が2位に浮上した代わりに、Prudential(18.08%)は対前年でシェアを落とし、2021年は3位に後退した。

■目次

1――はじめに
2――保険市場の概況
3――新契約の状況
4――保有契約の状況
5――販売チャネル
6――おわりに

保険研究部   専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登(まつざわ のぼる)

研究領域:保険

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

経歴

【職歴】
 1985年 日本生命保険相互会社入社
 2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
 2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
 2018年4月 取締役保険研究部研究理事
 2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
 2024年4月より現職

【加入団体等】
 東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
 東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
 大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
 金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
 日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等

【著書】
 『はじめて学ぶ少額短期保険』
  出版社:保険毎日新聞社
  発行年月:2024年02月

 『Q&Aで読み解く保険業法』
  出版社:保険毎日新聞社
  発行年月:2022年07月

 『はじめて学ぶ生命保険』
  出版社:保険毎日新聞社
  発行年月:2021年05月

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