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中国経済の見通し-2022年は前年比3.4%増、23年は同5.3%増、24年は同5.2%増と予想
2022年11月25日
(三尾 幸吉郎)
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5. 中国経済の見通し
以上を踏まえて、2023年の経済成長率は実質で前年比5.3%増と予想している(図表-6)。
2022年は成長率目標「5.5%前後」を大幅に下回る見込み(前年比3.4%増)だが、そうした経済不振の背景にはCOVID-19の第2波が襲来したことに加えて、10月に党大会というビッグイベントが開催されたことがあった。その重要性があまりにも高いことから、さまざまな面で中国経済を下押しすることになったのである。党大会までは何としてもCOVID-19の感染拡大を阻止しようと、中国政府が居住地域をなるべく出ないよう指導したため、9月の中秋節や10月の国慶節の連休では旅行者が減少し、個人消費を下押しした。投資に関しても、党大会で決まる重要政策や最高指導部の人事を見極めた上で投資判断しようと、実施を先送りする動きが見られた。
しかし、そうした制約条件が無くなる2023年はさまざまな面で経済活動が活性化していくと見ている。COVID-19の新規感染が多少増えたとしても、無症状の患者が大半を占めていたり、死亡者がほんのわずかだったりすれば、その厳格度はゆっくりとだが徐々に緩和されていくだろう。実際、習近平国家主席は「ゼロコロナ政策を堅持する」と宣言したまま、2022年9月には外遊を再開し、11月のG20サミットでは外遊したうえ夕食会にも参加した。また、党大会が終わったことで民間投資も活性化する。新指導部の顔ぶれが分かり、経済運営の方向性が予想しやすくなるからだ。企業家にとっては、ライバルに先んじてビジネス機会を捉えるビッグチャンスでもある。したがって、2023年は抑制されてきた消費が徐々に勢いを取り戻し、不振だった民間投資も徐々に勢いを取り戻す年となるだろう。
但し、来春に開催される全人代では、経済運営を担う首相が交代することになる。新首相がその手腕を存分に発揮できるようになるには一定の準備期間が必要となるだろう。そこで2023年上半期はやや低め(前期比年率4%前後)、下半期はやや高め(同6%前後)と予想している。これらを前年比に直すと5.3%増となる。
そして、2024年は前期比年率で5%前後の巡行速度(=大規模な政策支援なしで無理なく成長できる水準)での経済成長に回帰と予想している。これを前年比に直すと5.2%増となる。
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