5|AmazonのMFNとMMAは市場における競争を制限する12
(1)Amazonのオンライン市場は米国で他のオンライン市場と競争している。
オンライン市場には、多数の売り手がいるオンライン市場と、単独の売り手により運営されるオンライン市場とがある。AmazonのMFNとMMAはオンライン市場同士の競争を制限し、Amazonの独占的地位を守ってきた。
オンライン市場とリアル店舗は、消費者、経済学者、販売業者、ビジネス専門家、Amazon自身によって相違すると考えられている。また相違点として、オンライン市場はリアル店舗と比較して、顧客に関する非常に多くの異なった情報を得られる点や、オンライン市場の方がリアル店舗より多くの広告(一ドルあたりの広告費として三倍)を利用している点などが挙げられる。
(2)Amazonの市場支配力はオンライン市場の価格支配力で示される。
Amazonのオンライン市場における市場支配力は、MFNを通じて他のオンライン市場の価格を支配し、Amazonのオンライン市場よりも安い価格で販売されることを防ぐ能力によって示される。これらの合意は効果的に価格下限をオンライン市場横断的に設定することになり、Amazon価格がオンライン市場横断的に広められる。
(3)Amazonの市場支配力は独占的に持続的なマーケットシェアによって示される。
Amazonの市場売り上げシェアは2016年に38.1%であって昨今の推計では50%を超えている。下院の反トラスト小委員会の試算では、Amazonが65%~70%の米国オンライン市場を支配している。Amazonのオンライン市場の独占力は一時的なものではなく、下院の反トラスト小委員会が結論付けたように、米国オンライン市場における重大で継続的な市場支配力を有する。
(4)Amazonの市場支配力は参入障壁によって守られている。
Amazonの市場支配力は多くの自身が作り出した参入障壁で守られている。たとえば、Amazonはオンライン市場構築にあたって、莫大な資金投資と当初、巨額の連年の損失の発生を許容した。Amazonと同範囲・同規模で意味のある参入は、Amazonの参入障壁を前提とするとありそうにないか、不可能である。
最も重要な参入障壁はネットワーク効果である。売り手と買い手の双方にとってオンライン市場の価値は、ネットワークの反対側により多くの売り手と買い手がいることにより一層増加する。新規参入者にとってAmazonクラスの多数の売り手と買い手がおり、巨大で確立した障壁がある場合の参入は極度に困難である。
Amazonは米国で1億2600万人のプライム会員という顧客ベースを、損失を出しながら作り出し、Amazonオンライン市場のネットワーク効果を構築した。96%のプライム会員は他のオンライン市場よりもAmazonで購入しやすいと推定されている。
他の参入障壁としてはAmazonがオンライン市場で収集した売り手と買い手の莫大なデータである。Amazonはこれらのデータを用い、個別顧客に対してターゲット商品を絞り、より多くの支出をするように誘う。
また別の参入障壁としては、運送とロジスティクスサービスによってオンライン市場での独占を強化しているということがある。
(5)Amazonの反競争法的な合意によって市場支配的地位が構築・維持される。
AmazonのMFNとMMAはオンライン市場での独占的な地位を強化する。仮にAmazonの価格統制がなければ、TPSは別のオンライン市場や自社サイトを利用する動機付けがされていただろう。
AmazonのTPSやFPSとの反競争法的な合意は既存あるいは潜在的なオンライン市場競争者が効果的にマーケットシェアを獲得、あるいは参入することをできなくし、そのためにAmazonの独占および手数料や価格を支配する能力を強化している。
12 修正申立てP16~P20