ユーロ圏失業率(2022年6月)-3か月連続の6.6%

2022年08月02日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:6.6%で横ばい推移

8月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2022年6月、季節調整値)】
失業率は6.6%、市場予想1(6.6%)と同じで、前月(6.6%)から横ばいだった(図表1)
失業者は1092.5万人となり、前月(1090.0万人)から2.5万人増加した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率は再び上昇

ユーロ圏の22年6月の失業率は6.6%で、前月(6.6%)から横ばいだった(図表3)。5月以前の改定値の改定幅は大きくなかったが、4月(改定前:6.7%→改定後:6.6%)および3月(同6.8%→6.7%)の失業率が改定値でわずかに低下しており、今回の公表値では4月以降、3か月連続で6.6%だったことになる。

失業者数は6月の前月差で2.5万人増(5月改定値:▲7.4万人)となり、21年4月以来となる前月比での増加だった(図表3・4)。主要国ではスペインが2.8万人増、ドイツ(▲0.5万人)、フランス(▲0.7万人)、イタリア(▲0.4万人)は減少したが、いずれも減少数は小幅だった。

6月の若年失業率は13.6%で5月(改定前:13.1%→改定後:13.2%)から再び増加した(図表2)。また、4月以前の改定値もわずかだが悪化方向に改定されている(4月:13.8→13.8%、3月13.8→13.9%、2月14.0→14.1%など)。若年失業者数も6月で207.3万人(前月差+6.4万人)となり、前月から増加している(図表4)。
国別の5月のデータを見ると、失業率ではデータが公表されている19か国中、悪化した国が5か国、改善が10か国、横ばいが4か国だった(図表5)。また、若年失業率ではデータが公表されている19か国中、悪化した国が8か国、改善した国が6か国、横ばいが5か国だった(図表6)。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が微減、非労働力人口が減少し、就業者数は増加した(図表7)。一方、ポルトガルでは失業者も非労働力人口も増加し、就業者数が減少し、労働参加率は67.5%まで低下した(図表8)。ポルトガルはコロナ禍後の雇用環境回復が順調に進み、コロナ禍前と比較しても雇用環境が良好な状況にあるが、最近は雇用者数が4か月連続で減少するなど、改善に足踏みが見られる。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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