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寄付者の現状把握を試みる
ふるさと納税創設当時の想定では、寄付者は以下2つの特性を持っているはずである。
(1)ふるさとに貢献したいという高い「志」を持っている
(2)寄付金の使われ方に対する強い「関心」を持っている
これに対し、返礼品送付については様々な通知やふるさと納税に係る指定制度が懸念する寄付者は以下3つのような寄付者と考えられる。
(3)返礼品の送付が対価の提供(返礼品をお取り寄せなどの売買契約)と誤解している
(4)ふるさとに貢献したいという「志」よりも、お得感(自身の利益)を優先する
(5)返礼品にしか興味がない
返礼品送付に関する通知が初めて出された2016年から6年、ふるさと納税に係る指定制度が始まった2019年から3年経過したが、寄付者は(1)・(2)と(3)~(5)の、いずれに近いのだろうか。そこで、Twitterから「ふるさと納税」というキーワードを含むツイート
1を集め、昨今の寄付者の現状把握を試みた。
膨大なツイートの中から、(1)の特徴を持つツイートとして、「支援」、「応援」、「頑張れ」等のキーワードを含むツイートを抽出し、(2)の特徴を持つツイートとして、「使途」、「使い道」、「用途」といったキーワードを含むツイートを抽出した。また、(3)の特徴を持つツイートとして「買う」、「購入」、「取り寄せ」といったキーワードを含むツイートを、(4)の特徴を持つツイートとして「お得」、「節税」、「還元」といったキーワードを含むツイートを抽出した。
残念ながら、1つのツイート(最大140文字)から(5)の特徴を判定するのは困難であることから、返礼品の到来に関するツイート(5-1)、返礼品の紹介を目的としたツイート(5-2)、並びに返礼品自体に言及したツイート(5-3)を抽出し、総合的に評価する。具体的には、(5-1)は「来た」、「美味」、「待つ」といったキーワードを含むツイート、(5-2)は「オススメ」、「人気」といったキーワードや特定の返礼品につながるURLを含むツイート、(5-3)は「返礼品」、「肉」、「米」といったキーワードを含むツイートを抽出した。
結果は図表2の通りである。(1)や(2)のふるさと納税創設当時に想定していた寄付者像と関係性の高いキーワードを含むツイートの割合に比べて、(3)~(5)の懸念する寄付者像と関係性の高いキーワードを含むツイートの方が圧倒的に大きい。
地方団体や民間事業者の使用が禁止されている「買う」、「購入」といった表現を含む(3)の返礼品の送付が対価の提供と明らかに誤解していると思われるツイートが全体の15%を超える。また、「還元」といった表現を含む(4)の「志」よりも自身の利益を優先していると思われるツイートも全体の約9%に及ぶ。一方、(1)ふるさとに貢献したいという高い「志」を感じるツイートは全体の3%以下
2で、(2)の寄付金の使われ方に着目するツイートは、全体の1%にも満たない。