バイデン政権1年の評価-追加経済対策やインフラ投資で成果も党内対立などから支持率は低迷、中間選挙に向け問われる真価

2022年01月28日

(窪谷 浩) 米国経済

■要旨
 
  1. バイデン大統領の就任から1月20日で1年が経過した。バイデン政権は追加経済対策や超党派のインフラ投資法案を成立させたほか、雇用創出などでは一定の成果を挙げた。
     
  2. 一方、新型コロナ対策では就任当初はワクチン接種の進捗がみられたものの、その後はワクチン接種の進捗が緩やかに留まるほか、デルタ株やオミクロン株などの変異株が拡大した結果、新型コロナ感染者数の抑制に成功していない。
     
  3. また、党内対立から社会保障改革や気候変動を盛り込んだ大型歳出法案(ビルドバックベター法)成立の目途が立っていないほか、インフレ高進に伴い国民の不満が高まるなど、バイデン政権は多くの課題を抱えている。
     
  4. バイデン大統領の支持率は就任当初は比較的堅調に推移していたものの、夏場以降は不支持率が支持率を上回っており、足元の支持率は戦後の大統領でトランプ前大統領に次いで2番目の低さとなっている。また、政党支持率も21年10月以降は与党民主党が野党共和党を下回る状況となっている。
     
  5. 22年11月に予定されている中間選挙に向けて、バイデン政権は政権運営の立て直しを図りたい所だが、支持率回復の糸口はつかめておらず、中間選挙に敗北し「ねじれ議会」となる可能性が高まっている。その場合、バイデン政権は早くもレイムダック化しよう。

 
■目次

1.はじめに
2.バイデン政権の成果
  (追加経済対策)3月におよそ1.9兆ドル規模の追加経済対策が成立
  (インフラ投資)11月に総額1.2兆ドル(新規投資分:5,500億ドル)のインフラ投資法案が
   成立
  (雇用者数・失業率)21年の雇用増加数、失業率の低下幅ともに統計開始以来最高
3.バイデン政権の課題
  (新型コロナ対策)ワクチン接種の進捗が進まない中、変異株の拡大で感染者数が急増
  (ビルドバックベター法)下院通過も上院での可決の目途は立たない
  (インフレ高進)世論調査は70%がバイデン大統領のインフレ対応に不満
4.バイデン大統領の評価と中間選挙の見通し
  (バイデン大統領の評価)大統領支持率は戦後歴代2番目の低さ
  (中間選挙の見通し)ねじれ議会となる可能性が高く、バイデン政権は早くもレイムダック化へ

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩(くぼたに ひろし)

研究領域:経済

研究・専門分野
米国経済

経歴

【職歴】
 1991年 日本生命保険相互会社入社
 1999年 NLI International Inc.(米国)
 2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
 2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
 2014年10月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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