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同一指数への株式インデックス投資でも手数料が違う
株式インデックス型投資信託では、同一指数に連動すればリターンが同じであるため、手数料は安い方が良い。特に手数料において大きな比重を占める「購入手数料」と「信託報酬」に注目してみたい。
近年、株式投資信託では購入手数料が0円となるノーロード投資信託が増えてきている。2018年1月からスタートした「つみたてNISA」の対象となる株式インデックス投資信託はノーロード、低コストを前提に、投資対象として指定されたインデックス
4の投資信託が主に選ばれている。
一方、2021年6月に金融庁が公表した「資産運用高度化プログレスレポート2021」によると、同一指数に連動するインデックス型投資信託の費用体系を巡る課題が指摘された。同一指数に連動するインデックス型投資信託の中で信託報酬にばらつきがみられ、特に設定後の経過年数が長いほど信託報酬が高い傾向にあると問題視された。
実際、株式インデックス投資信託の信託報酬はどうなっているか見てみよう。
「つみたてNISA対象」と「つみたてNISA対象外」に分けて2021年10月25日時点に代表的な株式インデックス投資信託の信託報酬の最高値・最安値を調べてみた。
まずは「つみたてNISA対象」商品を見てみよう【図表3】。国内資産を対象とするものの信託報酬は0.55%(税込)以下、海外資産を対象とするものの信託報酬は0.825%(税込)以下である要件が設けられているため、日経平均株価の信託報酬の最高値は0.55%で、信託報酬の最安値は0.15%であり、信託報酬の最高値と最安値の差が0.4%ある。一方、MSCIコクサイの信託報酬の最高値は0.66%である。MSCIコクサイには信託報酬が0%(期間限定、その後0.10%)の投資信託のものもあり、信託報酬の最高値と最安値の差は0.66%もある。
次に「つみたてNISA対象外」商品の信託報酬を見てみよう【図表4】。代表的な株式インデックス投資信託の信託報酬が全体的に「つみたてNISA対象」商品より高い傾向にある。例えば、MSCI EMは「つみたてNISA対象外」商品の最高値が1.1%であり、「つみたてNISA対象」商品より0.44%高い。
「つみたてNISA対象外」商品でも同一指数の手数料が違う。信託報酬の最高値と最安値の差が最も小さいのはナスダック100である。ナスダック100の信託報酬の最高値と最安値はそれぞれ0.5%と0.42%であり、0.08%の差しかない。それに対し、MSCIコクサイの最高値と最安値は1.05%と0.15%であり、0.9%と信託報酬の差が最も大きい。
「つみたてNISA対象」商品では信託報酬が比較的安い商品が選択されていることが確認できる。しかし、「つみたてNISA対象」の株式インデックス型投資信託であれ、「つみたてNISA対象外」の株式インデックス型投資信託であれ、同じ株式インデックスであっても商品によって信託報酬の差があることが分かる。