ロシアGDP(2021年1-3月期)-回復基調にあるが、先行きの不透明感も大きい

2021年06月16日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:1-3月期は前年同期比▲0.7%まで改善

6月15日、ロシア連邦統計局は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(未季節調整系列)】
2021年1-3月期の前年同期比伸び率は▲0.7%、予想1(同▲1.0%)から上振れ、前期(同▲1.8%)からマイナス幅が縮小した(図表1・2)

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:コロナ禍の影響は減少しているが、先行きは不透明

今回の結果は、5月17日に公表されていた予備推計値(▲1.0%)から上方修正されている。ロシアでは19年1-3月期のコロナ禍の影響が小さかったので、前年同期比はコロナ禍前の水準との比較と捉えられるが、ほぼコロナ禍前の水準に戻った(やや下回った)と評価できる。

産業別の伸び率を見ると(図表3)、大分類では第一次産業・第二次産業・第三次産業(金融・不動産を除く)で前年同期比マイナスであった。ただし、いずれも前期(20年10-12月期)からマイナス幅を縮小している。一方、金融・不動産はプラス成長を維持したものの、前期から減速する結果となった。より細かい産業分類では、原油生産を抑制していることで鉱業が前年同期比▲7.4%と前期(▲10.4%)からは改善されたが、依然としてマイナス幅が大きい。コロナ禍の影響を大きく受けていた産業を見ると、「飲食・居住サービス」が前年同期比▲7.5%(前期:▲20.7%)と改善、「自家利用2」も0.0%(前期:▲26.0%)と大幅な改善を見せた。また、シェアの大きい小売・卸売が+0.7%(前期:▲1.8%)とマイナスからプラスに転じている。
なお、季節調整系列は需要別の伸び率や季節調整系列については、執筆時点でロシア連邦統計局のウェブサイトから入手できなかったが、供給別項目の試算値を見ると改善傾向にはあるものの、改善ペースは緩慢であると見られる(図表5、図表4の需要別動向は20年10-12月期まで)。
足もとの状況を概観すると、原油需要に関しては、OPECプラスで協調減産縮小(つまり増産)を5月から7月まで続けることを確認しているため、4-6月期の鉱業生産は上向くことが想定される。一方、国内では食料品価格を中心にインフレ率が上昇基調にあり、中銀は3会合連続で1.25%の利上げを実施、金融の引き締めを強めている(図表6)。また、コロナ禍の状況については、ワクチン接種の進展が欧米先進国よりも遅れる(執筆時点で接種回数人口比は13%弱)なかで6月頃からは感染者数の増加が見られており、モスクワ市で行動制限の強化に動くなど、正常化への動きが順調に進んでいる訳ではない。政治的な欧米との緊張関係も続いている。ロシア経済は、依然として不確実性の高い状況にあると言えるだろう。
 
2 自家利用の財・サービス。便宜的に第三次産業(その他)に含めた。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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