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企業物価指数(2021年3月)―1年1ヵ月ぶりに前年比プラスに転じる
2021年04月12日
(藤原 光汰)
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1.1年1ヵ月ぶりに前年比プラスに転じる
4月12日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、21年3月の国内企業物価は前年比1.0%(2月:同▲0.6%)と1年1ヵ月ぶりに前年比プラスに転じた。事前の市場予想(QUICK集計:前年比0.5%、当社予想は同0.7%)を大幅に上回る結果となった。また、20年度の国内企業物価上昇率は前年比▲1.4%(19年度:同0.1%)となった。
世界的な経済活動の持ち直しに伴い銅の国際価格が高値をつけていることを受けて、非鉄金属が前年比28.7%となり、2月の同17.9%から伸び率を大幅に上昇させた。また、原油価格の上昇を受けて、石油・石炭製品が前年比9.8%(2月:同▲6.0%)と1年2ヵ月ぶりのプラスに転じたことなどが国内企業物価の押し上げ要因となった。
国内企業物価は前月比では0.8%(2月:同0.6%)と4ヵ月連続の上昇となり、前月から伸びを高めた。前月比で内訳をみると、ガソリン(2月:前月比3.7%→3月:同5.1%)、灯油(2月:前月比6.8%→3月:同9.7%)、軽油(2月:前月比6.9%→3月:同9.5%)などが前月に続き高めの伸びを維持したことなどから、石油・石炭製品が前月比5.9%(2月:同4.3%)と4ヵ月連続の上昇となった。石油・石炭製品の国内企業物価に対する寄与度は0.36%ptとなり、全体の押し上げ幅の半分程度を占めている。また、ナフサ高などに伴い、化学製品が前月比1.4%となったほか、非鉄金属(同4.5%)、農林水産物(同1.6%)、スクラップ類(同8.1%)、電力・都市ガス・水道(同0.9%)などがプラス寄与となった。
2.輸入物価(前月比)は5ヵ月連続のプラス
21年3月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比1.7%(2月:同3.6%)と5ヵ月連続のプラスとなった。また、21年3月の円相場は前月比3.1%の円安となったことから、円ベースでは前月比3.8%(2月:同4.6%)と契約通貨ベースを大きく上回る高い伸びとなった。
契約通貨ベースで輸入物価の内訳をみると、天然ガスが前月比▲16.5%(2月:同10.4%)と大きく低下する一方、原油(前月比11.7%)、ナフサ(同12.5%)などが高い伸びとなったことなどにより、石油・石炭・天然ガスが前月比2.5%(2月:同10.8%)と5ヵ月連続で上昇した。また、生産活動の回復を反映し、金属・同製品が前月比2.7%と高めの伸びとなったほか、電気・電子機器(同1.6%)、化学製品(同2.1%)などが前月から上昇した。
3.国内企業物価は先行きも前年比で高めの伸びが継続
21年3月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比7.6%(2月:同▲3.9%)、中間財が前年比1.9%(2月:同▲1.0%)、最終財が前年比0.9%(2月:同▲0.7%)となった。すべての需要段階で前年比プラスに転じており、川上から川下への価格転嫁が進んでいることが確認される。ただし、前年(20年)3月に新型コロナウイルス感染拡大によって大きく落ち込んだ反動で上振れしやすくなっていることには注意が必要である。前々年(19年)3月と比較すると、素原材料、中間財、最終財はそれぞれ▲4.3%、▲1.1%、▲0.9%となっている。
また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比0.9%(2月:同▲0.7%)と約2年ぶりにプラスに転じた。
世界の一部地域ではロックダウンが断続的に実施されているほか、日本でも一部の地域にまん延防止等重点措置が適用されるなど、新型コロナウイルス感染症による先行きの不透明感は強いが、世界的に経済活動は持ち直しており、原油・銅などの国際商品市況は高止まりしている。前年に大きく落ち込んだ反動もあり、国内企業物価は4月以降、前年比3%前後の高い伸びとなるだろう。
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