「一山崩し」というゲームは、以下のようなルールを有するゲームである。
・n個の玉がある。2人が交互に玉を取り合って、最後に玉を取り尽くした方が勝ちとなる。
・最初は、全ての玉を取ることはできないが、任意の個数の玉を取ってもよい。
・各段階で、直前に相手が取った玉の数の2倍まで取ることができる。
このゲームは、フィボナッチ数に関連して、必勝法がある。
それは、「残された玉の数がフィボナッチ数になると、その時点で必ず後手必勝になる」ということである。実際に考えてみると、以下のような具合である。
(1) 3個の玉がある場合、先手が1個取れば後手は残りの2個、先手が2個取れば後手は残りの1個を取ればよいので明らかである。
(2) 次に、5個の玉がある場合、先手が1個取れば後手は1個取ることで①の状況になる。先手が2個以上とれば後手は残りの玉を取ればよい。
(3) 8個の玉がある場合、先手が1個取れば後手は2個取ることで(2)の状況になる。先手が2個取れば後手は1個取って(2)の状況になり、先手が3個以上取れば、後手は残りの玉を取ればよい。
(4) 13個の玉がある場合、先手が1個取れば後手は1個取ることで残りは11個となるが、次に先手は1個か2個しか取れないのでいずれにしてもその後後手が2個ないしは1個取ることで(3)の状況になる。先手が2個取れば後手は3個取れば(3)の状況になる。
(5) 1個の玉がある場合、先手が3個((21-13)÷3))以上の玉を取る場合には後手は④の状況に持っていくことができ、先手が3個未満の玉しか取らない場合には、例えば21=8+13 と考えて、(3)と(4)の手法を用いることができる。
このようにして、先手の取る個数に応じて、フィボナッチ数の分解を考えて、後手は常に残りの玉の個数がいくつかのステップを踏むことでフィボナッチ数になるようにしておけば(また、そのことはフィボナッチ数列が前2項の和であり、相手の2倍までしか玉が取れないというルールにより常に可能となる)、先手がいくつの個数を取ろうが後手は必ず残りの玉の個数をフィボナッチ数とするように持っていくことができて、必ず勝てることになる。
従って、逆に言えば、「最初の玉の数がフィボナッチ数でなければ、先手は残りの玉の個数がフィボナッチ数となるように最初に必要な個数を取れば、先手必勝」ということになる。
このように、このゲームは、最初の玉の個数で先手必勝か後手必勝かが決まることになる。