今の日本に置き換えると、先頭が自由民主党や公明党の党旗で、日の丸は2番目ということになる。筆者にはなんとも理解しがたい光景だが、中国では当たり前のことだそうである。
というのも、中華人民共和国(国家)を作ったのは中国共産党であり、したがって国家よりも中国共産党のほうが地位が高い(建国70周年の翌々年が結党100周年という事実がこれを表している)。
その共産党が100周年という大きな節目を迎えるのだから、7月より前に習近平氏が米国に対して弱腰を見せることは絶対にできない。当然、バイデン氏もこうした事情を理解しているはずで、一大イベントが終わるまでは習近平氏の顔を立てるだろう。
だが、米中のハイテク覇権争いは経済的にも軍事的にも、お互い譲れないクリティカルなレベルとなっている。コロナウイルスを早期に抑え込んだとされる中国側は、米国が大統領選やコロナ対応に追われている間に淡々と経済の回復を進めて力を蓄えつつ、米国の次の出方を注視しているように見える。
現在は中国経済の急回復が日本企業(特に製造業)の業績底入れを牽引しているが、21年夏以降、米中摩擦への警戒から市場が動揺するリスクの実現可能性は、相応に高いとみておくべきだ。
(4)信用リスクの顕在化
社債のデフォルト(債務不履行)率がコロナショック後に急上昇した。S&Pグローバルによると、米国では20年に発生した社債のデフォルトが前年比1.8倍(143社)、欧州は同2.8倍(42社)、新興国は1.3倍(28社)という。
世界全体ではリーマンショック直後の09年以来となる200社を超え、同デフォルト率も5%を超えて10年以来の高水準になっている。それでも社債価格が急落(国債利回りに対する上乗せ幅=スプレッドが急上昇)していないのは、各国政府・中央銀行による大規模な財政・金融政策が下支えしているからだ。
日本経済新聞電子版(12月13日付)によると、世界の上場企業約3万4,000社のうち20年度に3年連続で債務の利払いを利払い・税引き前損益(EBIT)で賄えない企業は26.5%と足元で過去最高になり、主要国トップは米国の34.5%だ。
先日あるクレジットの専門家と話したところ、短期的にクレジットリスクが顕在化する可能性は低いが、いずれ過剰債務を市場が懸念して急速な信用収縮が起きるリスクの存在は常に頭の隅に置いておくべきだという。クレジットの世界でもバブルが形成されつつあるということだろう。
以上、株価急落を引き起こし得る主なリスク要因を点検した。他にも景気過熱によるインフレと金利急上昇、中東などの地政学リスク、バイデン氏の健康状態、菅政権の動向など挙げれば切りがない。ビックリ予想に過ぎないが、コロナウイルスが強力化してワクチンの効果が薄れるといった声も聞かれる。
5――おわりに