「福岡オフィス市場」の現況と見通し(2020年)~新型コロナウィルスの感染拡大を踏まえた市場見通し

2020年08月19日

(吉田 資) 不動産市場・不動産市況

■要旨
 
  • 福岡市のオフィス空室率は、2010年以降、新規供給が限定的であることを反映し、低下傾向で推移している。需給の逼迫に伴い、募集賃料は上昇している。一方、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令は、経済活動に対して広範囲にわたって甚大な影響をもたらしている。
     
  • 本稿では、福岡のオフィスの現況を概観した上で、新型コロナウィルスの感染拡大が及ぼす影響を踏まえて、2024年までの賃料予測を行った。
     
  • 福岡市は主要都市の中で最も高水準の新規供給が予定されていることから、空室率の上昇が見込まれる。加えて、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて、企業の業績は急速に悪化している。また、オフィス需要を牽引することを期待されたスタートアップ企業も業績が悪化しており、今後、順調に業績を伸ばすことは困難な状況にある。
     
  • コロナウィルスの感染拡大が及ぼす影響を考慮した福岡の成約賃料は、2019 年の賃料を100 とした場合、2024年は90へ下落すると見込まれる。

■目次

1. はじめに
2. 福岡オフィス市場の現況
  2-1. 空室率および募集賃料の動向
  2-2. オフィス市場の需給動向
  2-3. 空室率と募集賃料のエリア別動向
3. 新型コロナウィルスの感染拡大がオフィス需要に及ぼす影響
  3-1. 就業者数の増加
  3-2. スタートアップ企業の成長
4. 福岡中心部で進む再開発
  4-1. 「天神ビックバン」プロジェクト
  4-2. 「博多コネティッドボーナス」
5. 福岡オフィス市場の見通し
  5-1. オフィスビルの新規供給見通し
  5-2. 賃料見通し

金融研究部   主任研究員

吉田 資(よしだ たすく)

研究領域:不動産

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴

【職歴】
 2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
 2018年 ニッセイ基礎研究所

【加入団体等】
 一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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