2020年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.9%(年率▲3.6%)を予測~

2020年04月30日

(斎藤 太郎) 日本経済

■要旨
  1. 5/18に内閣府から公表される2020年1-3月期の実質GDPは、前期比▲0.9%(前期比年率▲3.6%)と2四半期連続のマイナス成長になったと推計される。
     
  2. 新型コロナウィルスの感染拡大を受けた政府の自粛要請の影響で、民間消費(前期比▲1.3%)、住宅投資(同▲3.0%)、設備投資(同▲1.9%)の国内民間需要がいずれも大きく落ち込んだことがマイナス成長の主因である。
     
  3. 成長率のマイナス幅は2019年10-12月期から縮小したが、消費税率引き上げの影響で大きく落ち込んだ後であることを踏まえれば、経済の実態は見た目以上に厳しい。日本経済は、消費税率引き上げ後の落ち込みから徐々に持ち直しつつあったが、新型コロナウィルスの感染拡大とそれに伴う自粛要請によって、その流れは完全に途切れてしまった。
     
  4. 4月以降は、緊急事態宣言の発令とそれに伴う休業要請を受けて、民間消費、住宅投資、設備投資の大幅減少が不可避とみられることから、経済活動の縮小ペースは一段と加速する可能性が高い。現時点では4-6月期の実質GDPは前期比年率▲30%台のマイナス成長になると予想している。
■目次

●1-3月期は年率▲3.6%と2四半期連続のマイナス成長を予測
●主な需要項目の動向
  ・民間消費~自粛の影響でサービス消費中心に減少~
  ・住宅投資~2四半期連続の減少~
  ・民間設備投資~回復基調が途切れる~
  ・公的固定資本形成~5四半期ぶりの減少~
  ・外需~輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回り、2四半期連続のプラス寄与~

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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