成功報酬型の医薬品価格設定-効いたときにだけ薬剤費を支払う仕組みの課題とは?

2020年04月22日

(篠原 拓也) 保険計理

■要旨

近年、医療費の増大が進んでいる。その要因に、薬剤費があげられることがある。欧米では、新薬の価格設定に成功報酬を導入するケースが増えている。もし日本でも成功報酬が導入されれば、高額医薬品の薬剤費が抑えられるのではないか、との声も一部にある。しかし、現在のところ、日本ではその議論は進んでいない。

本稿では、欧米での成功報酬型の価格設定を概観して、その特徴や課題をみていくこととする。

■目次

1――はじめに
2――各国の薬剤価格
3――成功報酬型導入の動き
  1|欧米では医薬品メーカーと保険者等の交渉の結果、成功報酬型が導入される
  2|アメリカでは法制度が見直され、成功報酬型拡充の環境が整いつつある
  3|医薬品の価値が不確実な場合でも市場投入できる
4――成功報酬型導入の課題
  1|医薬品メーカーは保険会社等との契約交渉が必要
  2|成功の定義づくりが簡単ではない
  3|同じ医薬品でも病気の種類によって価格が異なることがある
  4|成功報酬型の価格設定には実務上の課題も数多く残されている
5――成功報酬型の事例
6――おわりに (私見)
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