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今回の検討内容
さて、それを受けて今回が第4回で、以下のような項目からなる。
「大規模噴火時の広域降灰対策について
-首都圏における降灰の影響と対策-~富士山をモデルケースに~(報告)」
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対策の検討の前提となる降灰の影響等
(1) 想定ケース 富士山で宝永噴火(1707)レベルの噴火が起こり、その時の風向きは3ケース(西、西南西、風向きの変化が大きい時)とする。
(2) 降灰による影響(後述)
(3) 対策の検討の前提とする輸送手段の利用可能性(主要道路の復旧)
(4) 火山灰の処理(東日本大震災の災害廃棄物量の10倍とも見込まれる火山灰の処理)
これらを踏まえた
住民等の行動の基本的考え方(家屋の倒壊の可能性がある範囲、社会的混乱、避難など)
対策の検討にあたっての留意事項
・防災計画の必要性、関係者による検討体制
・平時、火山活動活発時、噴火発生後、それぞれの際の対応の検討
最も興味ある事項として、(2) 降灰による影響、を抜粋して挙げてみよう。
鉄道:微量の降灰でも地上路線の運航は停止
道路:視界低下による安全通行が困難、乾燥時㎝降雨時㎝以上の降灰でバイクなどは通行不能
航空:滑走路の使用不可、火山灰が存在する空域の迂回、それによる運航可能便数制限
物資・人の移動:買占め、売り切れ、交通支障による配送困難、店舗の営業困難による入手困難
電力:電線などへの降灰による停電などの不具合、火力発電所設備のフィルター交換などの必要性などから発電量低下
通信:利用者増による回線のパンク、通信アンテナへの火山灰付着による障害
上水道:原水の水質悪化またはその処理能力超過による引用不適・断水
下水道:降雨時の下水管の閉塞 発電設備の不具合から停止しよう制限
建物:降雨時30㎝以上の堆積で木造家屋の倒壊可能性が高まる
定量的な影響はそれぞれの事業者などに任せるとしても、心配な項目を挙げるだけならば、我々にもまだいろいろと思いつきそうである。
例えば、この冬はなかったものの、首都圏では時に大雪で混乱が起こる。雪ならば積もってもいつかは溶ける、あるいは蒸発するが、あれが全部火山灰だとしたら、何もしなければいつまでも残るだろう。その時どんな大変なことになるか、ということでもある。
3――おわりに