業務上の災害なのかどうか、傷病や障害の程度がどのくらいなのか等は、労基署が事業主や医師の証明をもとに判断をします。
(1) 業務災害
ケガについては、業務中(トイレ等生理的行為中を含む)に起きれば、おおむね業務災害と認められます。ただし、休憩時間や就業前後に、私的な行為によって発生した場合は業務災害とは認められません。出張や社用での外出等、事業主の支配下にあるものの、管理下を離れている場合も、積極的な私的行為によって発生した場合を除いて、一般的には業務災害とされます。
疾病については業務との間に相当因果関係が認められる疾病について、労災保険の対象となります。つまり、たとえば、就業時間外における発症であっても、業務による有害因子にさらされたことによって発症したものと認められれば、業務上疾病と認められますが、就業時間内に発症したとしても、業務上の理由が認められない限り、認められません。
一般に、1) 労働の場に有害因子が存在していること、2) 健康障害を起こしうるほどの有害因子にさらされたこと、3) 発症の経過および病態が医学的にみて妥当であることの3つの要件が満たされる場合には、原則として業務上疾病と認められます。
(2) 通勤災害
通勤災害でいう「通勤」とは、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復、就業の場所から他の就業の場所への移動、単身赴任先住居と帰省先住居の間の移動を、合理的な経路および方法で行うことをいい、移動の経路を逸脱したり中断した場合は、その間の移動は「通勤」とはなりません。また、業務の性質を有する移動は、通勤災害ではなく、業務災害となります。
例えば、通勤ラッシュを避けるための早出など、通常の出勤時刻とある程度の前後があっても認められます。また、通勤のために通常利用する経路が複数ある場合、それらの経路はいずれも合理的な経路とみなされるほか、当日の交通事情により、やむを得ず通る経路も合理的な経路とみなされます。また、鉄道やバスなどの公共交通機関の利用、自動車・自転車の本来の用法に従った使用、徒歩などは、平常用いているかどうかや、会社に届け出ている経路かどうかにかかわらず、合理的な方法かどうかが判断基準となります。
通勤の途中で映画館に入る場合、飲酒をする場合などは、通勤とは関係のない行為とみなされ、以降の移動は通勤とはみなされません。公衆トイレを使う場合や、経路上の店でタバコやジュースを購入する場合、厚生労働省令で定める例外行為
3を、やむを得ない事由により最小限度で行う場合は、逸脱または中断の間を除き、合理的な経路に戻った場合は、再び通勤とみなされます。
3 日用品の購入、職業訓練、選挙、病院等の受診、継続的な介護等。詳細は厚生労働省サイトをご覧ください。