2017年10-12月期の実質GDPは、前期比0.2%(前期比年率0.8%)と8四半期連続のプラス成長になったと推計される。
住宅投資(前期比▲3.3%)、公的固定資本形成(同▲0.6%)は減少したが、民間消費が前期比0.4%と増加に転じ、設備投資が前期比1.4%と前期から伸びが加速したことから、国内需要は5四半期連続で増加した。一方、輸出は前期比2.1%と好調を維持したが、国内需要の持ち直しと前期の落ち込みの反動から輸入が前期比2.5%と輸出を上回る高い伸びとなったため、7-9月期に成長率を大きく押し上げた外需は、前期比・寄与度▲0.1%(前期比年率▲0.3%)と小幅ながら成長率の押し下げ要因となった。
実質GDP成長率への寄与度は、国内需要が0.3%(うち民需0.3%、公需0.0%)、外需が▲0.1%と予測する。
名目GDPは前期比▲0.0%(前期比年率▲0.0%)とわずかながら5四半期ぶりのマイナス成長となるだろう。GDPデフレーターは前期比▲0.2%(7-9月期:同0.2%)、前年比▲0.0%(7-9月期:同0.1%)、と予測する。民間消費を中心に国内需要デフレーターが前期比0.2%(7-9月期:同0.1%)と伸びを高めたが、原油高の影響などから輸入デフレーターが前期比3.0%となり、輸出デフレーターの伸び(同0.6%)を上回ったことがGDPデフレーターの押し下げ要因となった。
なお、2/14に内閣府から2017年10-12月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、実質GDP成長率は2017年4-6月期が下方修正(前期比年率2.9%→同2.7%)、7-9月期が上方修正(前期比年率2.5%→同2.7%)されると予測している。この結果、2017年(暦年)の実質GDP成長率は1.7%、名目GDP成長率は1.4%になると見込まれる。
2017年10-12月期の実質GDPは7-9月期から大きく減速した模様だが、この主因は輸入が7-9月期の減少から増加に転じたことである。輸入は7-9月期に実質GDPを前期比年率1.0%(寄与度)押し上げたのに対し、10-12月期は同▲1.7%押し下げたと予想される。また、民間在庫変動の寄与度も7-9月期の前期比年率1.5%から10-12月期は同▲0.3%に低下したとみられる。輸入の増加、民間在庫変動のマイナス寄与は最終需要の弱さを示すものではなく、7-9月期から10-12月期にかけて景気が実勢として弱まったわけではない。
経済成長の内訳をみると、7-9月期、10-12月期を通して好調なのは輸出、設備投資の企業部門である。一方、10-12月期の民間消費は増加に転じたが、7-9月期と均してみれば横ばい圏の動きにとどまり、住宅投資は2四半期連続で減少した。家計部門は低調な推移が続いていると判断される。
先行きについても、海外経済の回復に伴う輸出の増加、企業収益の改善を背景とした設備投資の回復が続くことが予想される。一方、名目賃金の伸び悩みや物価上昇に伴う実質所得の低迷から家計部門は厳しい状況が続きそうだ。当面は企業部門(輸出+設備投資)主導の経済成長が続く可能性が高い。
●主な需要項目の動向