潮目が変わる、中国保険業界-行政トップの事実上更迭、安邦保険グループトップの拘束のその先【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(26)

2017年06月20日

(片山 ゆき) 中国・アジア保険事情

■要旨
 
  • 今年に入って、中国の保険会社や、保険行政トップの動向が紙面に載ることが多い。
     
  • 例えば、中堅生保の前海人寿、恒大人寿による不動産大手の万科株の敵対的買収に対する行政処分、保険行政トップの事実上の更迭、海外の有名ホテルや金融機関を次々と買収していた安邦保険グループのトップの拘束など、である。
     
  • 秋の党大会に向けた政治闘争などの一環として報道される向きは多く、次ぎの粛清のターゲットは誰か、市場は緊張の面持ちを隠せない。
     
  • しかし、保険市場のあり方に目を向けると、大きな変革も見られる。一連の衝撃は大きかったものの、騒動の発端となった保険市場は、成長の健全化に向けて大きく舵を切り始めている。本稿では、生命保険市場がどのように変わろうとしているのか、について紹介をしたい。

■目次

1-重要なのは、市場の健全化、システミックリスク発生防止、保障性商品の販売強化
2-事の発端
3-まずは、市場の健全化、違反行為の洗い出し
4-政府が恐れる‘システミックリスク’の発生
5-保障性商品の販売強化へのシフト
6-金融行政3部門、一元化の動き?

保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

片山 ゆき(かたやま ゆき)

研究領域:保険

研究・専門分野
中国の社会保障制度・民間保険

経歴

【職歴】
 2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
 (2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
 ・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
 (2019年度・2020年度・2023年度)
 ・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
 ・千葉大学客員准教授(2023年度~) 【加入団体等】
 日本保険学会、社会政策学会、他
 博士(学術)

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