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魅力ある世界都市とは~魅力ある世界都市へのプロセスと課題 3/4
【ポスト2020、魅力ある世界都市へ 訪日客数4000万人時代への挑戦】
2017年01月12日
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2016年10月18日「ポスト2020、魅力ある世界都市へ - 訪日客数4000万人時代への挑戦 -」をテーマにニッセイ基礎研シンポジウムを開催しました。
基調講演では明治大学公共政策大学院 ガバナンス研究科 教授の青山 佾氏をお招きして「オリンピック・パラリンピックと都市」をテーマに講演頂きました。
基調講演
「オリンピック・パラリンピックと都市」
パネルディスカッションでは「魅力ある世界都市へのプロセスと課題」をテーマに活発な議論を行っていただきました。
いま3/4記事目を読んでいます
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パネルディスカッション
「魅力ある世界都市へのプロセスと課題」
パネリスト
明治大学公共政策大学院 教授
青山 佾 氏
ウィズダムツリージャパン株式会社
最高経営責任者
イェスパー・コール 氏
オラガ総研株式会社 代表取締役社長
牧野 知弘 氏
ニッセイ基礎研究所 研究理事
吉本 光宏
コーディネーター
ニッセイ基礎研究所 不動産運用調査室長
加藤 えり子
4-3.2020の先に向けた東京の文化戦略
■吉本
東京の文化プログラムは、今、関係機関が準備を進めているのですけれども、2020年を機に、東京はどんな文化戦略を描くべきか、私は五つにまとめてみました。
一つ目に、東京という都市が芸術家の夢が実現する都市になってほしいということです。世界の文化の首都は、これまでパリだったり、ニューヨークだったり、ロンドンだったりしたわけですが、今までにアジアの都市がなったことはありません。
文化の首都になるための条件というのは、私はそこから世界をリードする新しいアートが生まれることだと思います。
でも残念ながら東京は、そのインフラや環境が整っていません。国際的に活躍するアーティストは、むしろ東京を離れていってしまいます。ですので、東京から世界にインパクトをもたらすような素晴らしい作品が生み出されるようになって欲しい。
これは2011年にイタリアのアーティストが東京の臨海部で行ったパフォーマンスなのですが、こうした作品が次々に生まれるような都市になってほしいと思います。
そして二つ目に、アーティストが集まる都市が実現すれば、アートに限らず新しい価値を生み出す革新的な都市になっていく。東京はそういう都市を目指すべきだと私は思っています。
お気付きの方もいると思いますが、これはリオ大会での東京のプレゼンテーションです。
青山先生のお話にもありましたが、大変話題になり、高い評価を得ています。
私は会場で見ていたのですが、安倍首相が出てきたときは「随分とそっくりさんを連れてきたものだ」と思ったのです。でも何度も「Prime minister ABE」とアナウンスされるものだから、本人がいらっしゃったということに気付きました。
先日もモスクワで、ある文化関係の国際会議があったのですが、アムステルダムの友人が私に会うなり、「あの東京のプレゼンはすごいよ」と言ってくれました。東京はかっこいいということなのです。
そして、「安倍首相がマリオに扮するなんて、あのアイデアは一体誰が考えたのか」と驚嘆していました。「特に安倍首相がマリオに扮して登場したことによって、世界中の何億人もの人が安倍首相の名前と顔を覚えたことは、日本のマーケティングとしてものすごい戦略だった」というのが彼の意見でした。
そういうふうにクリエイティブで新しいものを生み出す都市というのが、東京のもう一つの戦略としてあってほしいと思います。
そして文化というのは東京だけのことではありません。そのために日本の文化のプラットフォームとして東京が機能してほしいというのが三つ目の戦略です。
その文化というのも、伝統的なものから現代的なもの、あるいは芸術文化からB級グルメのような食文化まで、非常に幅広いものがあると思います。そうしたものが全国各地に存在している日本は、世界でもまれな国ではないかと思います。
ですので、そうした文化を東京大会のときに東京から世界中に発信することによって、訪日外国人4000万人を地方都市へのインバウンドにつなげられるのではないかというのがこのアイデアです。
ご覧いただいているのは東北で行われている三陸国際芸術祭のポスターなのですが、東北には郷土芸能がたくさん受け継がれてきました。
それを東京大会の文化プログラムで発信しよう、文化プログラムの開会式を被災地でやろう、と関係者と一緒に現在いろいろ準備を進めております。
そして四つ目は、アートから社会的課題にアプローチする東京であってほしいということです。今、芸術というのは、見るだけで楽しいという存在ではなくて、アートによってさまざまな社会的な課題の解決につながることが世界的に注目されております。
例えば芸術を学んだ子どもたちの方が国語や数学の成績が高かったり、リハビリをいくらやっても上がらなかったおばあちゃんの腕が、ダンスアーティストのワークショップで気が付いたら上がっていたり、というようなことが各地から多数報告されています。
ご覧いただいている写真は、東京都がリオ大会で行った「TURN」というアートプロジェクトなのですが、そのときも日本人アーティスト2人が1カ月間、サンパウロの福祉施設に滞在してさまざまなワークショップを行いました。
こうした取り組みが常に行われる都市であってほしいというのが4番目の戦略です。
そして最後、五つ目は、市民の創造性が発揮される都市であってほしい、ということです。小さい文字で恐縮ですが、右側にデータが幾つか並んでおります。
これは、ロンドン大会の国際会議で都市の文化特性を比較したときの東京データで、海外の方が驚いたものなのですが、東京には一般家庭に何と83万台のピアノがあるそうです。
他にもお茶やお花を楽しんでいる人たちは46万人、アマチュアのダンススクールは750件、これは世界ナンバーワンでした。そして540万部の新聞が発行され、そこには毎日たくさんの俳句が投稿されております。
つまり、海外の方が驚いたのは、日本人というのは芸術を鑑賞するだけではなくて、市民そのものの生活の中に芸術やクリエイティブな活動が根付いているということです。それがもっと発揮されるような都市が東京大会を機に実現してほしいと思います。
そして、文化プログラムについてはつい先日、組織委員会が二つのロゴを発表しました。
内閣官房でもbeyond2020という枠組みを設けております。東京だけではなく、全国の地方自治体でも文化プログラムに大変興味を持っているところが少なくありません。
ですので、2020年のオリンピックではぜひ素晴らしい文化プログラムを実現して、そのことで東京の文化特性を高め、地方の活力創出につなげていけたらと思います。どうもありがとうございました。
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