今日は基調講演で、お隣の青山先生から、東京の今後の課題、あるいは魅力をどういうふうに出していくのかといったお話を拝聴いたしましたけれども、私も多くの不動産関係の仕事をしていまして常に感じるのは、都市の魅力あるいは都市の成長というものが、どうやら新陳代謝がきちんとできていることによって生まれているということです。
つまり多くの人々が訪れたり住まったりする一方で、この都市からまた次の発展のステージを求めて出ていかれる方もいらっしゃいます。入ってくる人がいれば出ていく人もいます。この中で都市の魅力づくりができるのではないかと考えております。
しかし、残念ながらわが国は、少子高齢化などと言われますけれども、青山先生の方からもご指摘いただいたとおり、人口の減少ばかりに目が行きがちです。
しかし、実は東京の都市圏の中でも激しい高齢化の問題が避けて通れなくなっています。ポスト2020を考える中で、こんな課題があるわけです。
そんな中、この新陳代謝というキーワードについて考えると、私たちが東京の銀座や、ここの品川の通りを歩いているときによく目にする外国の方、お隣のコールさんなどもそうですけれども、こういった方々との連携、あるいは一緒にやっていくパワーが重要です。今日はそのことについて簡単にお話ししたいと思います。
皆さまご案内のとおり、訪日外国人の数は、当初の政府目標を2020年に2000万人としていたものが、昨年は既に1974万人でございます。今年も8月までの累計で既に、約2000万人だった昨年を25%ほど上回り、1600万人を超えてまいりました。
こういった中で、政府は2020年の東京オリンピックの年に、訪日外国人を4000万人にしようという意欲的な目標を掲げました。
一方、日本の旅行者数、あるいは国際収支のデータを見ますと、日本から外国に出掛ける出国者の数を、外国から日本にやってくる入国者数(訪日外国人数)が上回るようになってきています。従って、国際旅行収支は、日本人が海外で使うお金に比べて、外国人が日本で使うお金が上回るようになりまして、昨年は久しぶりに1兆円を超える黒字という状況に相成っております。
今は海外のどんな国の人が日本に訪れているかというと、皆さまご推察のとおりです。中国をはじめとした東アジア、あるいはタイ、シンガポール、マレーシアといった東南アジア、これらアジアの国々の人たちが訪日外国人の84%を占めています。
彼らの消費動向は、昨年で約3兆5000億円です。この急増ぶりはグラフで見ていただくと分かるとおり、2011年の東日本大震災をボトムに5年連続で急速に成長しております。