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選択と責任──消費社会の二重構造(2)-欲望について考える(3)

2025年10月21日

(廣瀬 涼) 消費者行動

■要旨

前回は、消費が「選択」と「責任」を伴う行為であり、私たちの生活と社会に痕跡を残すことを確認した。本稿はその延長として、「私たちは本当に自分の欲求を理解しているのか」を問う。私たちは本当に「自分が何を欲しいのか」を理解しているのだろうか。欲しいと思って買ったはずなのに、あとで後悔したり、誰かの反応に心が揺れたりする。SNSを見れば次々と「欲しいもの」が現れ、気づけば他人の選択に自分の感情が左右されている――そんな経験は誰にでもあるだろう。選ぶ自由が増えたはずの時代に、なぜ私たちはますます迷い、慎重になっているのか。自由に選んでいるようでいて、実は「選ばされている」のではないか。消費における「選択」について、筆者の専門である消費文化論の視点から考察する。

■目次

1――私たちは本当に「自分が何を欲しいのか」を理解しているのだろうか
2――知り合いの姪っ子の話
3――あるスーパーマーケットでの話
4――他人との境遇の差が欠乏感を生む
5――まとめ

生活研究部   研究員

廣瀬 涼(ひろせ りょう)

研究領域:暮らし

研究・専門分野
消費文化論、若者マーケティング、サブカルチャー

経歴

【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
     ニッセイ基礎研究所入社

・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員

【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会

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