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中国:2025~26年の経済見通し -25年「+5%前後」成長は可能だが、年後半は減速感が強まる見込み

2025年08月22日

(三浦 祐介) 中国経済

(不動産市場)
不動産市場について、7月の住宅販売床面積の前年同月比伸び率は、マイナス幅がわずかに縮小した(図表13)。住宅販売価格(70都市単純平均)の前年同月比の伸びは、22年4月以降、40カ月連続でマイナスとなっているが、24年10月を底にマイナス幅の縮小が続いている。

供給側の動向に関して、住宅着工床面積(3カ月後方移動平均)の伸びは、前月に続きマイナス幅が縮小した(図表14)。住宅竣工床面積(同上)の伸びは、マイナス幅が小幅に拡大した。住宅完成在庫床面積は依然増加しており、伸び率は前月から概ね横ばいで推移した。また、不動産開発資金(同上)の伸びは、依然として前年同月比でマイナスとなっている。24年春先以降、改善傾向にあったが、25年4月以降、マイナス幅が拡大している。
(財政)
財政の動向をみると、歳出(3カ月後方移動平均)については、一般公共予算の伸びが6月以降低下している(図表15)。他方、政府性基金は、高い伸びを記録している。歳入(同上)については、一般公共予算の伸びが低調にとどまっているのに対して、政府性基金は6月から7月にかけて高まった(図表16)。一般公共予算のうち、税収の伸びは改善している一方、非税収入の伸びは6月以降マイナスに転じている。

3.物価・金融の動向

3.物価・金融の動向

(物価)
物価の動向について、7月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比(以下同)は、前月から低下し0%となった(図表17)。生鮮野菜等でマイナス幅が拡大した一方、食品・エネルギーを除くコアCPIは、前月に続き上昇した。工業生産者出荷価格(PPI)の伸びは、22年10月以降、34カ月連続でマイナスとなっており(図表18)、7月は前月から横ばいで推移した。
(金融)
金融の動向について、7月のM2の伸びは、前月に続き上昇した。社会融資総量の伸びも、前月から高まった(図表19)。政府債券で伸びが高まった。金融政策に関して、政策金利(リバースレポ・オペ、7日物)は、25年5月に10bpsの利下げが実施されたが、その後は据え置きとなっている(図表20)。それを受け、貸出金利のベンチマークとなるLPRも、1年物、5年物とも、5月に10bps低下した後、横ばいで推移している。

経済研究部   主任研究員

三浦 祐介(みうら ゆうすけ)

研究領域:経済

研究・専門分野
中国経済

経歴

【職歴】
 ・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
 ・2009年:同 アジア調査部中国室
 (2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
 ・2020年:同 人事部
 ・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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