<需要項目別の動き>
民間消費は前期比0.2%と5四半期連続で増加した。物価高による下押し圧力は残っているが、生鮮食品を中心に物価の上昇ペースが鈍化したことが消費を下支えした。
実質家計消費の内訳を形態別にみると、自動車、家電などの耐久財は前期比2.6%の高い伸びとなり、被服・履物、家具などの半耐久財も同0.4%の増加となったが、外食、旅行、宿泊などのサービスは前期比▲0.0%の横ばいにとどまり、価格高騰が続く食料品などの非耐久財は同▲0.5%と減少した。
雇用者報酬は、名目・前年比3.7%となり、1-3月期の同4.4%から伸びが鈍化した。実質雇用者報酬は前年比0.6%(1-3月期:同1.0%)と5四半期連続で増加したが、前期から伸びが鈍化した。名目雇用者報酬の伸びが鈍化したことに加え、家計消費デフレーターの上昇率が拡大したことが実質の伸びを抑えた
1。
住宅投資は前期比0.8%と2四半期連続で増加した。新設住宅着工戸数(季節調整済・年率換算値)は建築物省エネ法・建築基準法改正前の駆け込み需要で2025年1-3月に88.8万戸と2024年10-12月期の77.8万戸から大きく増加した後、4-6月期はその反動で60.1万戸へ急減した。
GDP 統計の住宅投資は工事の進捗ベースで 計上され、着工の動きが遅れて反映されるため、駆け込み需要の反動が顕在化する7-9月期は大幅な減少となる可能性が高い。
設備投資は前期比1.3%と5四半期連続で増加し、1-3月期の同1.0%から伸びを高めた。日銀短観2025年6月調査では、2024年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が3月調査から▲1.4%下方修正され、前年度比6.9%(実績)となった後、2025年度の設備投資計画は2025年3月調査から4.8%上方修正され、前年度比8.7%となった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応の省力化投資、デジタル化に向けた情報関連投資、Eコマース拡大に伴う建設投資などを中心に回復基調が続いている。ただし、トランプ関税の影響もあり、先行きの企業行動は慎重化する可能性が高い。
公的需要は、政府消費が前期比0.0%の横ばい、公的固定資本形成が同▲0.5%の減少となった。
外需寄与度は前期比0.3%(前期比年率1.3%)と2四半期ぶりのプラスとなった。財貨・サービスの輸出が前期比2.0%の増加、財貨・サービスの輸入が前期比0.6%の増加となった。
米国の関税が引き上げられたが、自動車を中心に輸出企業が価格の引き下げで対応したことなどから、米国向け輸出は横ばい圏で踏みとどまった。
1 内閣府は2025年1-3月期1次速報から、従来の名目雇用者報酬を家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISM)デフレーターで除したものに加え、家計最終消費支出デフレーターで除した実質雇用者報酬を公表することとなった(いずれも参考値)。2025年1-3月期の実質雇用者報酬は前者が前年比0.6%、後者が同1.0%である。