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東京オフィス市場は賃料上昇継続。宿泊需要は伸び率が鈍化-不動産クォータリー・レビュー2025年第2四半期

2025年08月12日

(渡邊 布味子) 不動産市場・不動産市況

4.J -REIT(不動産投信)市場

2025年第2四半期の東証REIT指数(配当除き)は3月末比+5.2%上昇した。業種別では、オフィスが+6.3%、住宅が+4.2%、商業・物流等が+4.3%となり、オフィスセクターが市場全体の上昇を牽引した(図表-17)。6月末時点のバリュエーションは、純資産12.1兆円に保有物件の含み益5.9兆円を加えた18.0兆円に対して、市場時価総額は15.3兆円でNAV倍率6は0.85倍、分配金利回りは4.9%、10年国債利回りに対するイールドスプレッドは3.5%となっている。
J-REITによる第2四半期の物件取得額(引渡しベース)は1,954億円(前年同期比▲18%)、2025年上期累計では5,753億円(同▲23%)となった(図表-18)。アセットタイプ別の取得割合は、オフィス(32%)・ホテル(26%)・住宅(21%)・物流施設(12%)・商業施設(6%)・底地ほか(3%)となり、オフィスやホテルの取得割合が高まった。
今年上期のJ-REIT市場を振り返ると(図表-19)、東証REIT指数(配当除き)は+7.6%、配当込みでは+10.3%の上昇となった。市場ファンダメンタルズの改善に加えて、Jリート投信からの資金流出が一巡するなど需給環境が好転したこともプラスに寄与した。次に、市場規模を確認すると、上場銘柄数は57社で昨年末から変わらず、市場時価総額は15.3兆円(昨年末+7%増)、運用資産額(取得額ベース)は23.7兆円(同+1%増)となった。また、業績面では、堅調な不動産賃貸市況や不動産売却益の計上が寄与し、市場全体の1口当たり予想分配金は昨年末比+3%増加、1口当たりNAV(Net Asset Value)は同+2%増加し、いずれも過去最高を更新した。
 
6 NAV倍率は、市場時価総額がリートの解散価値(NAV:Net Asset Value)の何倍で評価されているかを表わす指標。

金融研究部   准主任研究員

渡邊 布味子(わたなべ ふみこ)

研究領域:不動産

研究・専門分野
不動産市場、不動産投資

経歴

【職歴】
 2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
 2006年 総合不動産会社に入社
 2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員

・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員

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