コラム

投資部門別売買動向(25年6月)~海外投資家は買い越し、個人は売り越し~

2025年07月08日

(森下 千鶴) 株式

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2025年6月の日経平均株価は、3カ月連続で上昇した。上旬は、米中通商摩擦の再燃や中東情勢の悪化、トランプ米大統領による関税引き上げ発言などが重石となり、日経平均株価は3万7,000円台後半でのもみ合いが続いた。中旬も、地政学リスクやFRBの金融政策を巡る思惑から一進一退の動きとなった。しかし下旬に入ると、イスラエルとイランの停戦合意や米FRB高官による早期利下げを支持する発言が好感され、米国のハイテク株が上昇し、日本株にも買いが波及した。特に、日経平均寄与度の高い半導体関連株が買われ、日経平均株価は26日に3万9,500円を超え、翌27日には約5カ月ぶりに4万円台を回復し、月末は4万487円で終えた。投資部門別では、海外投資家と事業法人が買い越す一方、信託銀行と個人は売り越した(図表1)。
2025年6月(6月2日~6月27日)の投資部門別の売買動向をみると、海外投資家が現物と先物の合計で1兆4,664億円の買い越しと、6月最大の買い越し部門であった。週単位では4月第3週から11週連続で買い越しが続いた(図表2)。
6月は事業法人も現物と先物の合計で1兆146億円の買い越しとなり、月単位では49カ月連続の買い越しとなった。2025年4月~6月の自社株買い設定額(TOPIX構成銘柄)は9.1兆円と前年同期比で約1.2倍に拡大している。週次では6月第1週から第3週まで毎週3,000億円前後の買い越しが続いたが、6月第4週(6月23日~27日)は463億円と小幅な買い越しに留まり、例年どおり期末の自社株買いは控える傾向がみられた(図表3)。
一方、信託銀行は現物と先物の合計で1兆4,105億円の売り越しと、6月最大の売り越し部門であった。週単位では4月第4週から6月第3週まで9週連続で売り越しが続いたが、6月第4週(6月23日~27日)は330億円と小幅ながら買い越しに転じた(図表4)。
また、6月は個人も現物と先物の合計で8,597億円売り越した。特に6月第4週(6月23日~27日)は6,884億円と大幅な売り越しとなった(図表5)。同週は、イスラエルとイランの停戦合意や米ハイテク株の上昇を背景に日経平均株価は週間で1,747円上昇しており、株価の下落局面で買い上昇局面で売る「逆張り投資」の姿勢が見られた。

金融研究部   研究員

森下 千鶴(もりした ちづる)

研究領域:医療・介護・ヘルスケア

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴

【職歴】
 2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
 2015年 ニッセイ基礎研究所入社
 2020年4月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会検定会員
 ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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