プレコンセプションケア 健康経営度調査2025に追加-大規模法人部門における認知度は5割超、内容を知っている企業のうち取組み法人は3割程度、対象の限定は是正要-

2025年05月27日

(乾 愛) 医療

■要旨

本稿では、健康経営度調査2025に追加されたプレコンセプションケアに関する項目についての詳細や、アンケート結果について簡単にご紹介する。

健康経営度調査とは 、経済産業省が企業の健康経営の取組状況や経年変化について分析することを目的に毎年実施されているものであり、「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」の選定・認定をするための資料として活用されているものである。

2024年7月23日に開催された健康投資ワーキンググループでは「若年層からの健康意識の啓発」を目的に、プレコンセプションケアに関する認知度と取組み有無についての項目が追加されることが検討され、健康経営度調査2025のアンケート箇所に反映された。 

健康経営度調査2025の大規模法人部門では、3,869件の企業が回答し、プレコンセプションケアについて「内容を知っている」と回答した企業は27.6%、「内容は知らないが聞いたことがある」と回答した企業と合わせて、認知度は52.2%に達することが明らかとなった。内容を知っている企業のうち、健康経営の一環として取組みを実施している企業は30.3%であった。

企業の回答事例をみると、セミナーや勉強会開催、既存の情報シートやチラシの活用が多い一方で、取組みの対象を女性に限定している事例が多数を占める点や、新人研修のみに導入している点などについては課題が残った。

健康経営度調査2025のクロス分析の結果をみると、プレコンセプションケアについて内容を知っている企業は、健康経営度調査の評価が上位20%以内に該当するものが54.7%を占めており、健康経営銘柄の選定企業であるものが73.6%、健康経営優良法人のホワイト500に選定されているものが60.5%を占める結果が示されており、プレコンセプションケアにまで配慮ができる企業は健康経営に関する全体の取組み評価も高い傾向が見受けられた。

■目次

1――はじめに
2――健康経営度調査の概要
  1|健康経営度調査とは?
  2|プレコンセプションケアに関するアンケート項目
3――健康経営度調査2025の結果
  1|プレコンセプションケアの認知度は5割超!?
  2|対象の限定を是正し、健康経営の一環である認識が重要

生活研究部   研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任

乾 愛(いぬい めぐみ)

研究領域:

研究・専門分野
母子保健・不妊治療・月経随伴症状・プレコンセプションケア等

経歴

【職歴】
2012年 東大阪市入庁(保健師)
2018年 大阪市立大学大学院 看護学研究科 公衆衛生看護学専攻 前期博士課程修了(看護学修士)
2019年 ニッセイ基礎研究所 入社

・大阪市立大学(現:大阪公立大学)研究員(2019年~)
・東京医科歯科大学(現:東京科学大学)非常勤講師(2023年~)
・文京区子ども子育て会議委員(2024年~)

【資格】
看護師・保健師・養護教諭一種・第一種衛生管理者

【加入団体等】
日本公衆衛生学会・日本公衆衛生看護学会・日本疫学会

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)