中国経済:25年1~3月期の評価-春風に潜む逆風。好調な出だしとなるも、米中摩擦の正念場はこれから

2025年04月23日

(三浦 祐介) 中国経済

(不動産市場)
不動産市場について、3月の住宅販売面積の前年同月比伸び率は、前月からマイナス幅が縮小したが、僅かながら前年減となっている(図表13)。住宅販売価格(70都市平均)の前年同月比の伸びは、22年4月以降、36カ月連続でマイナスとなっているが、24年10月を底にマイナス幅の縮小が続いている。

供給側の動向に関して、住宅着工面積(3カ月後方移動平均)の伸びは、前月からマイナス幅が小幅に縮小した(図表14)。住宅竣工面積(同上)の伸びは、マイナス幅が大きく縮小したが、前年減にとどまっている。住宅完成在庫面積は依然増加しており、伸びは前月から小幅に高まった。また、不動産開発資金(同上)の伸びは、24年春先以降、段階的にマイナス幅の縮小が続いている。
(財政)
財政の動向について、歳出(3カ月後方移動平均)の伸びは、25年1月から3月にかけて一般公共予算では伸びが鈍化した一方、政府性基金では3月に小幅に高まった(図表15)。歳入(同上)については、一般公共予算(同上)が25年1月から3月にかけて伸びが鈍化した。税収の伸びが3月に前年減に転じたほか、非税収入の伸びも低下した。政府性基金も、3月に前年同月比でマイナス幅が拡大した(図表16)。

3.物価・金融の動向

3.物価・金融の動向

(物価)
物価の動向について、3月の消費者物価指数(CPI)は、2月から伸び高まった(図表17)。豚肉価格や生鮮野菜等の食品価格の伸びはマイナス幅が縮小し、食品・エネルギーを除くコアCPIは、伸びが高まった。工業生産者出荷価格(PPI)の伸びは、22年10月以降、30カ月連続でマイナスとなっており(図表18)、3月は伸びのマイナス幅が2月から拡大した。
(金融)
金融の動向について、3月のM2の伸びは、2月から高まった。社会融資総量の伸びは、横ばい推移であった(図表19)。政府債券の伸びが高まった一方、それ以外の伸びは低下した。金融政策に関して、政策金利(リバースレポ・オペ、7日物)は24年9月に引き下げられて以降、据え置きが続いている(図表20)。貸出金利のベンチマークとなるLPRも、1年物、5年物とも、10月に25bps低下した後、横ばいで推移している。なお、MLF(中期貸出ファシリティ)については、24年7月以降入札方式の見直しがされてきたが、25年3月には複数価格での入札方式が導入され、従来担っていた政策金利としての役目を完全に終えたようだ。

経済研究部   主任研究員

三浦 祐介(みうら ゆうすけ)

研究領域:経済

研究・専門分野
中国経済

経歴

【職歴】
 ・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
 ・2009年:同 アジア調査部中国室
 (2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
 ・2020年:同 人事部
 ・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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