米住宅着工・許可件数(25年3月)-着工件数は市場予想を大幅に下回り、前月比▲11.4%と24年3月以来の減少幅

2025年04月18日

(窪谷 浩) 米国経済

1.結果の概要:住宅着工は市場予想を大幅に下回る一方、許可件数は市場予想を上回る

4月17日、米国センサス局は3月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は132.4万件(前月改定値:149.4万件)と150.1万件から小幅下方修正された前月、市場予想の142.0万件(Bloomberg集計の中央値)を大幅に下回った(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は148.2万件(前月:145.9万件)とこちらは前月、市場予想の145.0万件を上回った(図表2、図表5)。

2.結果の評価:足元で戸建て住宅は軟調も1-3月期の住宅投資はプラスを維持する見込み

住宅着工件数の伸びは前月比▲11.4%(前月:+9.8%)と前月から大幅なマイナスに転じた(図表3)。マイナス幅は24年3月以来の落ち込みとなった。戸建てが▲14.2%(前月:+9.5%)と前月から2桁の落ち込みとなったほか、集合住宅も▲3.5%(前月:+10.6%)とこちらもマイナスに転じた(図表4)。

前年同月比は+1.9%(前月:▲3.4%)と7ヵ月ぶりにプラスに転じた。戸建てが▲9.7%(前月:▲3.4%)と3ヵ月連続でマイナスとなった一方、集合住宅が+48.8%(前月:▲3.4%)と22年2月以来の伸びに加速して着工件数全体を押し上げた。

地域別寄与度(前月比)は、中西部が+6.4%ポイント(前月:▲4.1%ポイント)と前月からプラスに転じたほか、北東部が+0.1%ポイント(前月:+3.2%ポイント)とプラス幅は縮小も、前月に続いてプラスを維持した。一方、西部が▲8.6%ポイント(前月:+2.3%ポイント)、南部が▲9.3%ポイント(前月:+8.4%ポイント)と前月からマイナスに転じるなどマチマチの結果となった。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が+1.6%(前月:▲1.0%)と前月からプラスに転じた(図表5)。戸建てが▲2.0%(前月:+0.4%)と前月からマイナスに転じたものの、集合住宅が+9.3%(前月:▲3.8%)と前月からプラスに転じて許可件数全体を押し上げた(図表6)。

前年同月比は▲0.2%(前月:▲6.7%)と前月からマイナス幅は縮小したものの、14ヵ月連続のマイナスとなった。集合住宅が+0.6%(前月:▲14.0%)と前月から小幅ながらプラスに転じた一方、戸建てが▲0.6%(前月:▲2.8%)とマイナス幅は縮小したものの、10ヵ月連続のマイナスとなった。
一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で3月がそれぞれ+0.4%(12月:+19.2%)、+1.8%(12月:+8.9%)と、いずれも12月からプラス幅は縮小したものの、プラスを維持する状況が続いている(図表7)。

このため、4月30日発表の1-3月期の実質GDPにおける住宅投資(前期比年率)は前期の+5.5%からプラス幅は縮小するものの、2期連続でプラスを維持するとみられる。

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩(くぼたに ひろし)

研究領域:経済

研究・専門分野
米国経済

経歴

【職歴】
 1991年 日本生命保険相互会社入社
 1999年 NLI International Inc.(米国)
 2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
 2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
 2014年10月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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